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持続的な開発目標(SDGs)とポスト2015年開発アジェンダ(MDGs)の潮流

 2014年2月3日



昨年にミレニアム開発目標の達成状況は現状どうなっているのかというテーマで調べたことをまとめました。その続きとしてポスト2015年開発アジェンダについて調べていたのですが、ポスト2015年開発アジェンダの流れは、2012年9月に行われたリオ+20、もっと言ってしまうと1972年のストックホルム会議から、1992年のリオ地球サミット、2002年のヨハネスブルクサミットからの文脈もあり、全体像を理解するだけでもかなり大変です。関連する会議の流れは下図を御覧ください。

ポスト2015開発アジェンダ策定へ向けた経緯(www.post2015.jp/post2015.htmlより)

ポスト2015開発アジェンダ策定へ向けた経緯(www.post2015.jp/post2015.htmlより)

今回は大きな流れの中で、リオ+20にて議論された持続的な開発目標(Sutainable Development Goals)と、ポスト2015年開発アジェンダに焦点を絞り、関連するアクターや議題などについて、調べたことをご紹介します。(このSDGsもポスト2015年開発アジェンダも、まだ未策定であることにご注意ください。)

持続的な開発目標(SDGs)

2012年6月に開催された国連持続可能な開発会議(リオ+20)において,MDGsを補完するものとして,持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)を設定することについて議論されました。この目標は、すべての関係者に開かれている包括的で透明性のある政府間同士プロセスのもとに、グローバルな持続的開発目標を策定していくものとされています。

国連持続可能な開発会議(リオ+20)にて採択された成果物(The Future We Want)は政府間のOpen Working Groupを構築することを命じており、このOWGは第68回国連総会(2013年9月から2014年8月まで)に持続的な開発目標のための考察と適切なアクションを記した提案書を提出することとなっています。

OWGはアフリカ/アジアパシフィック/ラテンアメリカ・カリビアン/西ヨーロッパ・その他地域/東ヨーロッパの5つの大きなグループから構成されていて、それぞれのグループがさらにの国や地域によって構成されています。扱っているテーマは26つに分かれており、8つのOWGセッションが行われる予定となっているのですが、2014年の2月に行われる8回目のセッションが最後となっています。

テーマ下記の通りです。

  • 貧困撲滅
  • 食の安全と栄養/持続的な農業
  • 砂漠化、土地の劣化とかんばつ
  • 水と衛生
  • 雇用、適切な労働と社会的保護
  • 青少年、教育と文化
  • 健康と人口ダイナミクス
  • 持続的かつ包括的経済成長
  • マクロ経済政策の課題
  • エネルギー
  • 持続的開発融資
  • 実行手段
  • 持続的開発を達成するためのグローバル・パートナーシップ
  • 特殊な環境下にある国のニーズ
  • 人権
  • 地域・グローバルのガバナンス
  • 持続的な都市と人間の安住
  • 持続的な交通機関
  • 持続的な消費と生産(化学物質や廃棄物を含む)
  • 気候変動
  • 災害リスクの削減
  • 海洋
  • 森林と生物多様性
  • 社会的・性的平等を含む平等の普及と女性
  • 紛争予防、紛争後の平和構築と永続低平和の普及
  • 法整備とガバナンス

OWG以外にSDGs策定に関係のあるアクターには、Sustainable Development Solutions Network (SDSN) やUN System Technical Support Teamなどがあります。
UNS Technical Support TeamはOWGに必要なインプットを与えることがThe Future We Wantで決められていました。SDSNは2012年8月に組織されることが決まったネットワークで、科学的・技術的観点から持続的開発をサポートすることを役割としています。

なお、SDGs策定にあたっては下記のルールを守ることとされています。

  • アジェンダ21とヨハネスブルクサミットにて採択された計画に基づくものであること
  • すべてのリオ国際会議の規律に従うこと
  • 国際法律と一貫していること
  • すでに策定されているコミットメントの上に策定していくこと
  • 経済・社会・環境に関するすべての主要なサミットの成果物の実行に貢献すること
  • 持続的開発の達成のため優先事項に焦点を合わせること、成果物に合わせていくこと
  • 持続的開発における経済的、社会的、環境的側面のバランスと相互のつながりを取り入れていくこと
  • 国連のポスト2015年開発アジェンダと一貫性を保ちつつ統合していくこと
  • ミレニアム開発目標と異なる方向に向かないこと
  • すべての関係者が適切に実行プロセスに関わっていくこと

上記のルールを見ると、MDGsだけでなく、アジェンダ21(1992年にブラジルのリオデジャネイロにて行われた地球サミット(環境と開発に関する国際連合会議)で採択された21世紀に向け持続的な開発を実現するための行動計画)や、ヨハネスブルクサミット(2002年8月26日から9月4日まで南アフリカ共和国のヨハネスブルグで国際連合により開催された、地球環境問題に関する国際会議)などでの議論も引き継ぐ形で、SDGsを策定していくことが分かります。つまり、SDGsはポストMDGsのプロセスと完全にイコールではありませんし、『持続的開発』という言葉はSDGsの議論の段階で初めて出てきた言葉ではなく、リオデジャネイロでのサミットやヨハネスブルクサミットなどで議論されてきた持続的開発の文脈が存在していたということです(冒頭の画像を振り返って頂けると分かりやすいと思います)。SDGsを理解するためには、元来存在していた潮流を先に理解する必要があることがわかります。

ポスト2015年開発ポスト2015年開発目標(MDGs)の潮流

さて、全体の大きな持続的開発に向けた流れの中から、次にポスト2015年開発ポスト2015年開発目標を見ていくことにしましょう。
ポスト2015年開発アジェンダの潮流は、2010年にポストMDGsについての話題があがってきたことに端を発しています。潘基文国連事務総長がUN System タスクチームを2011年に立ち上げ、その後2012年にHigh Level Panel of Eminent Persons(HLP)を指名しています。

The UN System タスクチームは潘基文国連事務総長によって設立されたポスト2015年に向けたサポートチームです。世界銀行やIMFなども含む60以上の国際機関によって構成されています。2012年6月にレポートを発行しており、これがHLPに提出されています。
HLPは2012年7月に潘基文国連事務総長によって指名された27名のプロフェッショナルアドバイザーチームです。リオ+20での合意に基づく持続可能な開発目標(SDGs)策定を担う政府間作業部会と連携を取りながら、MDGsとその教訓、国連システムタスクチーム報告書の調査結果なども反映させ、2013年5月にレポート:A New Global Partnership: Eradicate Poverty and Transform Economies through Sustainable Developmentを事務総長に提出しました。
このHLPのレポートにはMy World 2015という一般の人からの声を集める調査の結果も反映されているそうです。

それとはまた別軸に、The UN Development Group(国際開発グループ)がコンサルテーションを行いました。このコンサルテーションは国別コンサルテーション、グローバルのテーマ別コンサルテーション、オンライン・プラットフォームによるコンサルテーションに分かれていました。

国別コンサルテーションは、The UN Country teams主導のもと88ヵ国を対象として議論が進められました。グローバルのテーマ別コンサルテーションは不平等、健康、教育、経済成長と雇用、環境の持続性、ガバナンス、紛争、人口ダイナミクス、飢餓、食糧と栄養保障、エネルギー、水の11のテーマに分かれて議論が進められました。オンライン・プラットフォームによるコンサルテーションは、The World We Wantのサイト上にて一般の人たちからの意見を募集していたものです。
これらの議論のレポート(A Million Voices: The World We WANT) は、2014年8月に国連事務総長によるポスト2015年開発アジェンダに関するレポートに取りまとめられることになっています。

その他にもUN Global Compactなどがポスト2015年開発目標策定プロセスに関わっています。
UN Global Compactは1999年の世界経済フォーラムにおいて、当時国連事務総長であったコフィー・アナンが企業に対して提唱したイニシアチブで、企業に対し、人権・労働権・環境・腐敗防止に関する10原則を順守し実践するよう要請しています。

ポストリオ+20のプロセス

ポスト2015年開発アジェンダの潮流と、現在統合の議論を行っているSDGsについて見てきましたが、最後にポストリオ+20のスケジュールがまとまっているスライドを発見したのでご紹介します。今まで説明してきたアクターやプロセスが網羅されていますので、改めて頭を整理するのに使えると思います。(本来であれば、アジェンダ21やヨハネスブルクサミット、リオ+20についても詳しく見ていく必要があると思うのですが、それはまた次回ということでご勘弁を)

ポストリオ+20(第67回国連総会)

ポストリオ+20(第67回国連総会)

ポストリオ+20のプロセス(68回国連総会)

ポストリオ+20のプロセス(68回国連総会)

ポストリオ+20(第69回国連総会)

ポストリオ+20(第69回国連総会)

ポストリオ+20(第70回国連総会)

ポストリオ+20(第70回国連総会)



終わりに
冒頭でも書いたように、ポスト2015年開発アジェンダやポストリオ+20の流れはとても複雑で、様々な組織が、様々な議論をし、様々なレポートをまとめています。ここで全体像を紹介しましたが、レポートなどには全く目を通せておりません。かなり膨大なので気が引けそうですが、読んでみたいと思っています・・・。
その複雑さとは別に驚いたのは、一般の人たちからの声を拾おうとしていたことです。完全なトップダウンではなくボトムアップで国際機関レベルのポリシーが決まって行くというのがいいですね。実際どのようにまとまったのか、正しく声を拾えているのか、拾われた声は本当に活かされていくのか、状況をよく把握していない一般の人の声を拾ってどうするのか、など疑問は浮かびますが、こちらもひとまずレポートを読まないことには何とも言えなさそうです。
世界レベルのポリシーや発行されているレポートについて御詳しい方がいらっしゃいましたら、ぜひご教示頂きたいですね。

御詳しい方と言えば、日本語の情報を個人で書き上げている方として東京工業大学大学院社会理工学研究科 准教授の蟹江憲史さんがヒットしました。開発と環境の統合目標策定を-ポスト2015年開発アジェンダにおける持続可能な開発目標(SDG)の意義-という記事を書かれています。MDGsとSDGsは統合する方向で議論が進められていると思っていたのですが、ざっと読んでみると実はこの2つの間に乖離があるそうです。その解決案の説明の中で引用されているGriggs, David, Mark Stafford-Smith, Owen Gaffney, Johan Rockstrom, Marcus C. Ohman, PriyaShyamsundar, Will Steffen, Gisbert Glaser, Norichika Kanie, and Ian Noble.(2013) Sustainable development goals for people and planet,Nature, 495: 305-307はチェックしていく必要がありそうです。

また、参考文献としてあげられているPOST2015 みんなが活きる地球に変えるは、冒頭でご紹介したスライドを掲載しているサイトです。とてもわかり易いのでぜひチェックしてみてください。

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