Home » STONEインフォ
第四回「国際協力・開発を英語のソースで勉強する会」ー貿易の自由化が途上国にもたらす影響 <後編>本文に基づくフリートーク
第四回勉強会のレポートの後半です。
前半では、貿易自由化の利点について扱いました。
後半では、記事の内容にそくして話し合われたことを書いていきます。途中かなり、議論が貿易の自由化から反れますが、お付き合いください。
テーマ:「貿易の自由化が途上国にもたらす影響」
扱った記事はこちら。“Free Trade Isn’t Helping World Poverty”(Ian Fletcher) (自由貿易は世界の貧困を助けていない)
産業基盤がなければ貿易自由化のメリットを享受できない
筆者の言いたいこと
(利点を話し合ったときには)輸出できるようになると産業が発展していくという、ポジティブスパイラルのようなことを言っていたが、記事によれば、産業基盤がほとんどないまま自由化してもポジティブスパイラルは始まらないということを言っている。完全にいきなり開放するのではなく、産業を育てたり保護したりしていきながらやらないと、スタートが切れない。
本文中に出てきた“Vanek‐Reinert効果”について
これは本当にそのとおり。いいものが安くなってしまったりすると、(産業が)潰れちゃう。
いきなり自由化すると、国内の(もともと国際競争力はなかったけど)一応それなりに頑張っていた産業すら、保護できなくなってしまう。潰されてしまう。
*****
アフリカは子沢山
本文より:「繁殖率が高いから、人口がどんどん増えていって、一人あたりの収入が減っていくように見える」という部分に関して
子供をいっぱい産んでしまって、余計貧しくなるというのは、アフリカに強い傾向。アジアの国はどちらかというと、収入が増えれば教育にお金をかけるようになる傾向がある。だから、アジアの国のほうが比較的先が見える。
アフリカは、人が多いほうが収入が増えるだろうという考えがある。
開発援助に携わる場合には、そこ(例えばアジアとアフリカ)は分けて考えるべきところ。この記事は主にアフリカのことを言っているのでは。
(子供が多いのは)宗教的なものも関係しているかもしれない。避妊が認められていない地域などもあるという話。
教育や知識が大事になってくる。
結婚が10代とか、すごく早いところもある。イスラム教の教育を受けていない地域など。
アフリカは娯楽が少ないから性行為をするという話もある。家族で小さい部屋に住んでいるから、小さい頃から両親が性行為しているところを普通に見ているということもあるらしい。
アフリカでは、すぐ死んでしまうということがわかっているから、とりあえずいっぱい産んで、生き残った子供は労働力にするという考えがある。
産業の面から見ると、それだけ人口が多いということは、安い労働力がたくさん存在しているということ。安い労働力を使いたい人たちにとっては、それは魅力的。でも、それは、労働者が安い賃金しかずっともらえないという構造を作る罠とも言える。
発展に伴って人口は減る?人口が多いのは悪いことか?
国別出生率
トップは圧倒的にアフリカが占める。1位はニジェールで一人あたり7人産んでいる。
アジアの国々でも少子化は始まっている。子供が少ないほうが教育にきちんとお金をかけられる、そしてきちんと教育できれば良い収入が得られるという考えを持つようになっている。
バングラデッシュで2.4人とか。以前と比べてだいぶ減っているはず。
フィリピン行ったとき、農村では8人とか子供がいるという状況を見たが、フィリピン全体の平均としてはそこまで高くない。農村の部分がカウントされているのかわからないが。
貧困の格差。金持ちになればなるほど一人っ子とか。
データによってもばらばら。政府が出しているものと世銀が出しているものでは数が結構ずれていたりする。
国の政府は、自分たちの都合のよい様にデータを出していることもあると思う。
本文で、「中国では人口増加を止められたからうまく発展していったが、インドは人口増加を止められなかった」ということが書いてある。
でも人口が増えること自体が悪いことなのか疑問。たしかに労働力面で一人あたりの賃金が少なくなってしまったりすると、貧困の構造をつくる要因になってしまうから良くない。
ベトナムでは労働者過剰が問題で、農村に人はたくさんいるのに一人あたりの土地が全くないという状況がある。みんなに働く意欲があるかどうかはわからないが。大規模農業とかを展開できない。例えば農村で工業化をするとか。都市に出るにしても、出るのにコストがかかって仕送りするほどのお金も得られない。そうなると農村で自給自足して大家族とかで暮らしているぶんにはいいのかも。生活レベルは高くないが。
*****
突然の貿易自由化は産業を崩壊させかねない
本文:「ラテンアメリカは、ワシントンコンセンサスで市場自由化を受け入れたが、あまり良い結果を生んでいない」という話。
結局、国の発展レベルなどによって、それを受け入れるメリットがどうなのかっていうのは変わってくる。
フリートレードをしてどっかしらに利益は出ると思うが、その利益を誰がもらっているのかが問題になってくるのでは。結局下の人たちに恩恵はないのではないか、など。これは単にフリートレードだけの問題とは言えない。
わりと上手く行った国の例は、中国だけ?
ベトナムも比較的うまくいっている。地理的要因もある。
関税を排除して、外資が参入してくるようになって恩恵を受けているという側面はある。
ACFTA。ベトナムも労働力は低い。賃金も中国より安い。ASEANと中国がFTAを結ぶことで、ASEAN諸国と中国の貿易が促進されるが、ベトナムは比較優位性を発揮できなくなる。ベトナムの国際競争力のある産業が際立っていないのが現状。
結局フリートレードのメリットはいっぱいあるが、それを活かせるような産業基盤がないと、自国の産業がどんどん追いやられて崩壊してしまう。
ベトナムは光る産業が無いまま、自由貿易ばかりを促進している。ベトナムは第一産業から第三次産業っていうふうに飛んでいて、工業化を経験していない。このままだと、脆弱な産業基盤は崩壊してしまう。
*****
社会主義的発展のモデル
ベトナムは社会主義から民主主義に今移行している。
中国もベトナムも完全な資本主義ではなくて、社会主義でありながら自由化を進めているというところで、産業を比較的保護できているのでは。
今中国はでかくなってきていて、資本主義じゃない体制で大きくなっているから、注目度は高い。その発展のメカニズムなどに対して。
民主主義でやるよりも、一人リーダーがいて、決めてしまったほうがもしかしたらスムーズかもしれない。リーダーが優秀であれば。
中国はトップダウンだから、それでうまくいっている側面もある。
⇔トップダウンでやってしまうと労働者の人権とかが無視されてしまうのでは。効率優先になってしまう。
独裁政権のときのほうが安定していたという話もある。中国も少し自由化してしまったために、不利益を被っている人もいる。
みんなが豊かになる方法なんてないのかもしれない。
独裁が崩壊して、中国みたいに徐々に移行していく場合、セーフティネットがないときつい。
派閥ができてくると汚職が進む。独裁は、その人に気に入られれば良いということになる。
〜時間切れ〜
*****
まとめ
フリートレードによって貧困削減につながるか
多少なりとも恩恵を受けているひとがいるはずだが、本当にボトムの人が減ることにつながっているかというとかなり疑問。すぐには効果はでなくても、長期的にみれば、底上げにつながるとは言えるかも。
フリートレードが入ってくることで、国際化されて表面化される問題とかもあって、そういうのに興味をもつNGOとか人のつながりが増えたりするのは良いことじゃないか。
フリートレード賛成派?反対派?
全員がフリートレード賛成派の立場をとりました。「その流れは止められるものではない。受け入れて、それに対してどう動いていくかを考えていくべき。」
最後に
議論があちこち飛んで、わかりにくいレポートになってしまったかもしれません。また、地域を特定しなかったために、ふわっとした議論になってしまったことも反省点のひとつです。しかし専門に学んでいるひとでない限り、こういったテーマについて深く考えていくことはあまりないと思います。上記のような反省を生かしつつ、今後も様々な面白いテーマで開発について真摯に向き合う機会をつくっていければいいなあと思います。私たちはこうした勉強会を月に一度開いています。よろしければ参加してみてください。
人気記事
Leave your response!
Additional comments powered by BackType