Home » STONEインフォ

【イベント報告】フェアトレード従事者の頭の中~フェアトレードのウソ?ホント?~

 2014年2月22日



たくさんの方に来ていただきました

たくさんの方に来ていただきました


こんにちは、STONEおだです。大雪が降り、電車が停まり、足元がとてつもなく悪い2014年2月15日に、フェアトレード従事者の頭の中~フェアトレードのウソ?ホント?というイベントを開催しました。大変外出し辛い状況であったにも関わらず50名の方が参加してくださいました。ご参加くださった皆様、ありがとうございました。ゲストの皆様、準備・運営を手伝ってくださった皆様、本当にありがとうございました。

今回は天候の影響で申込されたにも関わらず参加できなかった方も多くいらっしゃいましたので、当日の話に出てきた内容を簡単にまとめました。
※当日の発言をすべて書き起こしたわけではありません。

ゲストの方々

渡辺 龍也様
東京経済大学教授/フェアトレードタウン・ジャパン代表理事
NHK記者、国際機関職員、国際協力NGOセンター主幹、日本国際ボランティアセンターラオス事務所長を経て現職。著書に「フェアトレード学」(新評論)。

渡辺様

東京経済大学教授/フェアトレードタウン・ジャパン代表理事 渡辺様

胤森 なお子様
ピープル・ツリー 常務取締役/広報ディレクター 
通信会社に15年間勤務し、顧客対応、広報、販促などを経験。1999年、ボランティア参加を経てピープル・ツリーのスタッフとなり編集や広報を担当。フェアトレードのスポークス・パーソンとして講演などを行う。2006年より現職。

胤森様

ピープル・ツリー 常務取締役/広報ディレクター 胤森様

中島 佳織様
特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパン 事務局長
大学卒業後、メーカー勤務を経て国際協力NGOに転職。アフリカ難民支援やタイ北部山岳民族コーヒー生産者支援プロジェクトの立上げと運営に従事。その後、ケニア・ナイロビの日系自動車メーカー勤務。学生時代から途上国の貧困問題と向き合う中で、「寄付」や「援助」ではなく、貧困を生みだす歪んだ貿易構造から変えていこうとするフェアトレードに賛同し、2007年より現職。

中島様

特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパン 事務局長 中島様

勝井 裕美様
特定非営利活動法人シャプラニール クラフトリンクチーフ
大学卒業後、民間企業に勤めた後、海外協力NGOシャプラニールに2001年入職。フェアトレード部門クラフトリンク担当、ファンドレイジング担当を経て、2010年10月よりカトマンズ事務所長。2012年12月に帰任し、現職。

勝井様

特定非営利活動法人シャプラニール クラフトリンク チーフ勝井様

講義:意外と知らないフェアトレード

渡辺様:

  • フェアトレードの3つのかたち 1:独自のフェアトレード、2:WFTO加盟団体のフェアトレード 3:FLOラベルを使ったフェアトレード
    →実際にはフェアトレード認証ラベルというのはFLO以外にも多く存在するそうです。そのラベルの中でもっとも普及しているのがFLOとのこと。
  • 従来の貿易とフェアトレードの違い:フェアトレードは取引を生産者組合と行うことで公平性を担保しようとしていること、サプライ・チェーンをスリム化し中間マージン搾取を減らしていること。
  • まだまだフェアトレードを正しく認知している日本人は少なく、その割合は2012年時点で25%程度に留まっている。

勝井様:

  • 1973年バングラデシュの村にて、一番厳しい状況にあるのは女性であった。彼女たちが自立する手段はなんだろうと考えるところから手工芸品事業がはじまった。
  • 女性たちが手工芸品生産に従事することを通して、生産者の生活向上を目指した。しかし、それは金銭的な面だけでなく、尊厳や自信を得ることにも繋がる。家庭の中での地位も変わっていく。 

中島様:

  • 国際フェアトレード認証ラベルは、フェアトレードの市場を広げるための取り組みである。
  • 市場では高値で売られているかもしれないが、弱い立場にある生産者は手段が限られているため、言い値で売らざるを得ないという現状がある。
  • フェアトレード認証が浸透してきて、有名企業が主要商品にフェアトレードの考えを反映させるようになってきている。それは、生産者と共に歩んでいかなければ、企業自体の持続可能性もないという考えから。単なるブランディングのためではない。
  • フェアトレードはだいぶ広まってきてはいるものの、リーチできている層はまだまだ限定的である。

胤森様:

  • ”フェアトレードをメインストリームに”:一般消費者の普段の買い物の選択肢の中の一つにフェアトレード製品があってほしいと思っている。
  • ピープル・ツリーの商品開発:伝統技術や手仕事を活かしながら、消費者に求められる品質&デザインの製品づくり。フェアトレードのメインストリーム化を目指しているため。
  • 日常的に使えるものをつくることで、生産者への発注を増やす=雇用を増やす。
  • フェアトレードの認知を高めるためにメディア戦略を重要視している。メディアに取り上げてもらうため、プレスリリースを活用。話題づくりを通じて知名度向上を目指した。
  • WFTOも手工芸品生産者の声を受けて、製品認証ラベル導入をしようとしている。3年前から、FLOと協力して、仕組みづくり(チェック項目づくり)を行っている。

パネルディスカッション:フェアトレードのウソ?ホント?

パネルディスカッションで扱ったテーマは、会場の皆様から集めた質問から選定しました。
※皆様から非常にたくさんの面白い質問を頂いたのですが、時間の都合もあり一部しか回答ができておりませんこと、お詫び申し上げます。

質問を書き出す参加者の皆様

質問を書き出す参加者の皆様

質問①仲介業者がいないのになぜ安くならないの?々フェアトレードチョコでも値段が違いすぎない?

  • ひとつは、規模の経済の問題。フェアトレード製品の市場はまだ小さく大量に販売ができないため、大手企業の製品と比べると割高になる。(渡辺先生)
  • もうひとつは、どのような付加価値をつけているかという問題。ピープルツリーの場合、純粋に原材料にとてもこだわっているため割高になっている。(胤森様)
  • フェアトレードは、生産者に適正な賃金が支払われるかというところが出発点になってるため、販売時の値段はあまり焦点にはならない。(中島様)

質問②ラベルのつけられない農家は排除されちゃうのではないの?

  • まずはできる限り多くの生産者の方に仕組みを届ける必要がある。(中島様)
    →実際に、ラベル認証を受けるために必要な費用が賄えない農家のために融資をしたりしている。弱者切り捨てではなくラベルの恩恵を受けられる農家が増えるよう色々なNGOなどと協働している。(講義より)
  • 消費者がラベル認証にかかる費用を負担するなら、生産者に負担させなくてもよい。消費者はフェアなものを求めるが、そのために必要な費用を自ら負担しようとはしない。(渡辺様)

質問③バングラなどの途上国で製造しているアパレル会社とフェアトレードは何が違うの?

  • バングラは服の輸出によって多くの収入を得ている国でファストファッションの工場が多くあるが、その多くは、欧米のブランドのもので、昨年事故がありデモが起きるなど労働環境などは劣悪な場合もある。(勝井様)
  • 大手ファストファッションの業界ではサプライチェーンが複雑すぎて、現場に目が行き届いていない。消費者は、そういった事実などにも目を向けて製品選択をする必要もある。(胤森様)

質問③-2マザーハウスなどの会社とも違うの?

  • マザーハウスなどの会社とも違いがある。マザーハウスさんなどは技術優先でより良いものを作ることに重きをおいているように感じている。シャプラニールは、より不平等な立場に置かれている女性たちと活動することに重きを置いている。バングラなどと言うと、貧困というひとくくりにされてしまうところがあり、マザーハウスさんなどは価値転換をはかられているのでは。(勝井様)

質問④ラベルが2つあってわかりにくくない?

  • 実はフェアトレードラベルは2つと言わずたくさんある。(中島様)
  • FLOのラベルは製品ごとに認証を行うもので、WFTOは フェアトレードを実践している団体ですということを証明するためのラベル。(胤森様)

質問④-2ラベルなしでフェアトレードを行う方がより生産者に還元できるように思うのだけど?

  • 認証が必要と思えば取れば良いと思うし、必要がなければ取らなくてもよい。それは企業それぞれの判断。ただ「貿易を正す」という大きな目的に対して賛同の意味がある。(中島様)
  • FLOは最低限の基準を定めている。最低限の基準を守った上で、企業が今後それ以上のことをやっていくのはむしろ良いことだと思う。そういった企業も出てきている。(渡辺様)

質問⑤フェアトレードをはじめて出てきた新たな問題はないの?

  • フェアトレードの難しいところは、現場で日々めまぐるしい変化がある中で、これがフェアトレードの成果です!と言うのが難しいこと。(勝井様)
  • フェアトレードはファンが増えてきている一方、とても批判も増えている。(中島様)
    →FLOのフェアトレードのカカオを見ても、全生産量に対してフェアトレード認証されたカカオの生産量は1.2%にしか満たないなどのフェアトレード市場の拡大ができていないことによる課題意識があるそうです。(講義より)
  • フェアトレードを推進する立場としては良い面ばかりをもちろん取り上げてしまうけれど、課題もある。(胤森様)

質問⑥ラベル認証の監査は正確なの?

  • フェアトレードでは、監査のために費用を払っている。それを最低限に抑えるため、監査の回数を減らしつつも精度を高めるための努力をしている。どんな認証でも同じ。どんな監査も完璧ではない。(中島様)
  • 監査の精度を上げるひとつの方法として、隠蔽などが発生しないために、突撃訪問やランダムに人を選んでインタビューを行うなど、様々な工夫をしている。(中島様)

会場からの質問

会場からの質問①高校教員の方から、フェアトレードをどのように学校現場で伝えていけば良いのか?

  • 身近なチョコレートがどこから来ているのかなど、とっかかりやすいところから伝えていく。NPOでもそういった教材を作っている。(勝井様)
  • 社会を良くするための取り組みのごく一部としてのフェアトレードであるという伝え方が良い。完璧ではないということをふまえて、良い面も課題も含めて伝えていく必要がある。(中島様)

会場からの質問②ゲストの方々は日々の生活でどれだけフェアトレードを取り入れているのか?

  • コーヒーについては100%フェアトレード。服についは、例えばフェアトレードのセーターを3,4着持っている。(渡辺様)
  • 夏服などについてはシャプラニールのものを買っているが、シャプラニールでは冬服を扱えていないため、冬服などは市販の製品を着ることになってしまう。(勝井様)
  • 正直、ユニクロでヒートテックを勝ってしまったり、マクドナルド入ってしまったりもします。認証商品はまだまだ少ないので、そこのギャップを埋めていくのが仕事。プレゼントなどの際には(フェアトレード商品にするよう)気を遣う。(中島様)
  • 服に関してはほぼ100%ピープルツリーで、今日もピープルツリーの服を着ている。(胤森様)

会場からの質問③ラベルがついている=フェアトレード製品、ついていない製品=アンフェアトレードとしてしまうと、一種の思考停止なのでは?

  • ラベルは極端に言えばなくなっていい。貿易がフェアになっていけば良い。アドボカシー活動は今後も強化していく。(中島様)

ゲストの方々からの一言メッセージ

  • 肩肘張らずに、週に1度でもフェアトレード製品を購入してみてほしい。それから声を上げるということ。一人の小さな行動がとても重要。(渡辺様)
  • ずっとフェアトレードという言葉を使わずに、活動を続けてきた。「生産者のために」というところが一番。シャプラニールらしい、フェアトレードを続けていきたい。NGOの立場として、課題の部分も含めてお伝えをしていきたい。(勝井様)
  • フェアトレードという言葉だけが一人歩きしているが、純粋につくっているひとと、使う人との関係が対等になることを目指すことがフェアトレード。フェアトレードを通じて日々の自分を振り返ることにも繋がる。(中島様)
  • 一消費者としてまずはフェアトレードに関わりはじめた。今は仕事として。自分が良いと思って、できることをやっている。商品が好きと思って買ってもらいたい。コンセプトはいいけど商品は、、、という声があるならそれを改善していくのは私たちの役目。(胤森様)

ライターの一言
フェアトレードには種類があり、さらに活動している場所や扱っている製品によっても事情は大きく異なります。それを十把一絡げにフェアトレードと括って話がなされてしまうために、大きな誤解が生じてしまっているなぁと思います。『認証なしのフェアトレードは、例えば東北支援のためのビジネスとなんら変わりはない。ラベル認証のフェアトレードも、最低の保証を行うためのものであって生産者の生活向上・モチベーション向上などを阻害するようなことはしていないし、ラベルの恩恵に預かれる農家が少しでも増えるよう様々な取り組みをしている。たしかに理想と現実のギャップはあるかもしれないが、それを放置しているわけではなく解決のために取り組んでいるし、何より途上国側の人たちがフェアトレードの取り組みに賛同している中で、現場を知らない先進国の人が批判をするのも違う気がする。』というのが個人的な今の理解です。詳細については、前回のフェアトレード批判に関する考察記事の続編としてまとめたいと思っていますので、よろしくお願いします。(2014/3/21追記:続編を書きました→フェアトレードラベルについての再考

それでは改めまして、会場にお越しくださった皆様、協力してくださった皆様、本当にありがとうございました。

フェアトレード商品や書籍の販売も行いました

フェアトレード商品や書籍の販売も行いました


ゲストの皆様、手伝ってくださった皆様と記念に1枚

ゲストの皆様、手伝ってくださった皆様と記念に1枚


人気記事


Add Twitter!

Comments are closed.

Additional comments powered by BackType






協力:gakuvo
STONE イベント
   STONE ブログ
団体概要
   STONE Twitter
STONE お問合せ
HIKEGRAPH HIKEGRAPH


stone logo