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インドの貧困層への利便が期待されるIDシステムは実行可能なのか

 2013年9月23日

インドで今議論の的になっているのが、Unique Identification (UID) システム。これまでインドでは、包括的なIDシステムがなかったために、約400万人の、とくに地方のインド人は自分が誰であるかを証明するものが無かったといいます。そうした人々も、国が認可するIDシステムによって、しっかり公共のサービスが受けられるようになることが期待されています。
しかしこのシステムにも賛否両論あります。もう少し詳しくみていきましょう。

india

UIDとは

インドの12億人それぞれに対して12桁の番号が与えられると共に、その番号は写真だけでなく、指紋と眼球の虹彩のスキャンと紐づけられるそうです。2009年からすでに一部の州でパイロットプロジェクトが行われ、これまでに3億8千万人の人々にUIDが導入されているそうです。


UIDシステムに期待されていること

UIDシステムに期待されていることの一つが、援助を本当に必要としている人たちに届けるということです。

インドには、Public Distribution System (PDS) (=貧困層のための食料安保システム)の一環として、Fair Price Shop (FPS)というシステムがあります。これは、貧困層の人々が、政府の補助により、市場価格より安い価格で食べ物やそのほか日用品などを買うことができる仕組みです。

現状そのサービスを受けるためには、ration cardというものが必要になります。
通常ration cardは、貧困ラインより下の家族に与えられるものなのですが、本当にふさわしい人がそのカードを持てずに、ミドルクラスの人たちが安く食べ物を得るために偽のカードが流布してしまっているといった実情があります。

これらのサービスを受ける際に、UIDの番号で確認をとることにより、本当にふさわしいひとだけがサービスを受けられるようになり、これまでの無駄な経費も削減できることなどが期待されています。

ID card

UIDシステムの課題

UIDシステムの反対者は理由として以下のようなことを上げています。

・ 過酷な労働環境にいるひとの指紋は認証がしづらくなることがある。
・ UIDによって国民のあらゆる情報がわかるようになってしまうため、政府がとくに政敵の疑いある国民について情報を調べるためにデータを活用する可能性が出てくる。
・ とくに汚職が蔓延している国なので、企業が商目的でデータを買ったり、政治家が投票をしてもらえるように賄賂を送ったりといったことが起こりうる。

もともと汚職国家であることが、大きな問題として関わってきそうです。


まだ乗り越えるべき壁の多いUID

こうした国レベルでのIDシステムは今多くの国で注目されています。マレーシアでは、Mykadといって12歳以上のマレーシア人に与えられるIDカードで成功をおさめています。一方プロジェクトの計画はあったものの、その複雑すぎるシステムと大きなコストが要因で途中で断念している国もあるとのことです。


期待をよせている国民は多いものの、先に述べた汚職やプライバシーの問題などを越えていくためには、様々なレベルでの規制やポリシーメイキングが欠かせません。

みなさんはこのIDシステム、どのような結末を迎えると思いますか?


参考

Barcode Nation – Foreign Policy
PDS Portal of India

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