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バングラデシュの地下水ヒ素汚染 その2 – SONOフィルター

 2011年1月27日


こんにちは。
@royz_chocoです。
本日は、バングラデシュで深刻な地下水のヒ素汚染問題に関する記事の第二回目。

第一回目では、ヒ素汚染が人間に引き起こす問題ヒ素汚染が支援の担い手である国際機関によって引き起こされたという衝撃の事実についてお話しましたが、今日はそのヒ素問題解決のために開発されたデバイスを紹介したいと思います。
>>【スタディ】バングラデシュの地下水ヒ素汚染 その1- 問題を引き起こしたのは国際機関-


ヒ素除去のために家庭用に開発されたSONOフィルター[(6)(7)]

sonofilter

そんな中、バングラデシュ出身のAbul HussamさんによってSONOフィルターは開発されました。バケツが重なった様式で、鉄の入った層によってヒ素が、川の粗い砂やレンガのチップなどの層によってそのほか有機物や細かなゴミが取り除かれて、きれいな水として供給されます。電気いらず、材料もその土地由来のものを使用可だそうです。

ちなみにここでいうきれいな水というのは、ヒ素の濃度でいうと0.01 mg/L (10 ppb) 以下までヒ素が取り除かれた状態のことを言います。(このような水質基準はWHOによって定められ、ヒ素だけでなく鉄、マンガン、塩素などにも同様に基準値が設定されています。)

1時間あたり20リットルのきれいな水を供給できるSONOフィルターは35ドルで、最低5年間は廃棄物による有毒な負荷もなく使えるとのことで、1時間50リットルの新しいモデルも開発されています。

毎週約200のSONOフィルターが製造され、3万以上がすでに購入されているそうです。2007年にはAbulさんは the Grainger Foundation of Lake Forest, Ill.というところのThe 2007 sustainability prize 1億ドルを授与されて、その多くをさらなるフィルターの普及のために使用すると仰っているそうで、現在の普及具合が気になるところ。わかり次第お伝えできればと思います。

[左:SONOフィルター(6)]

SONOフィルターにも批判はある[(8)]

ちなみに、SONOフィルターに関しての批判の記事も見つけました。
Danger of Sono Filter in Bangladeshという記事では、SONOフィルターによって生じる廃棄物が潜在的危険性を持っていて、バングラデシュの現代と未来の世代にメリットよりも多くのデメリットをもたらすと言っています。

“The wastes are potentially dangerous and will cause more harm than good for the current and future generations of Bangladesh. “(8)

ここでいう廃棄物というのは、ヒ素が付着したろ過層のことです。実は、ヒ素はSONOフィルターによって地下水中から消滅するわけではなく、ろ過層に付着した状態になります。ある一定期間が経つと、このろ過層も一定量のヒ素を除去し容量を越えてしまうので、廃棄物として捨てる必要が出てくるわけですが、その廃棄物が有害であるという主張ですね。パラグラフ4で説明した「最低5年間は廃棄物による有毒な負荷もなく使える」と矛盾しています。

ほかにもヒ素除去のための活動や研究が行われている[(9)(10)(11)(12)(13)]

ちなみに日本でも、日本ポリグル株式会社「ヒ素含有被処理水の浄化処理方法」という名で昨年特許を出願されていたり、

立命館大学のとある研究室より「鉄ハイブリッド型砒素除去フィルターの適正化と持続化に関する研究」という報告がされたりしているとの情報をいただきました。

また、アジア砒素ネットワークという組織もあります。一度フォーラムに参加したことがあるのですが、面白い研究報告を多く聞くことができました。

つい先日には、地下水中のヒ素も地中50m未満では人間に影響与えるレベルの濃度では存在している(ベトナムの三角州についてしか検証していないようですが)という報告が、Nature Newsにアップされていました。
>>Arsenic sinks to new depths

最近は深井戸(恐らく50m以上深い)を掘ってヒ素を回避するという動きもあるとききました。最新の情報がキャッチアップでき次第またご紹介しますね!


最後に

いかがでしたでしょうか?
このヒ素汚染問題は、国際機関が良かれと推し進めた事業が、予想だにしなかった被害をもたらしてしまったこととして、多くの国際協力に関心のある人に頭の片隅に置いて欲しい問題です。国際機関ですら間違いを犯すのですから、私たちがより一層注意を払って行動すべきことは言わずもがな。

また、賞を受賞したSONOフィルターにも批判は存在しているわけで、国際協力分野(他分野もですが)で思考停止することがとても危険だということがわかるかと思います。

ですから、まずはこの分野に関心のある層が考えることを止めず、問題解決のための勉強と対話を続けていくことが大切ではないでしょうか?もちろん行動も!
実際、行動と思考や対話を繰り返されているのが、上記に書いたような活動されている方々なのだろうと思います。

私たちの記事がみなさんの今後の活動に少しでもお役にたてれば幸いです。
それではまた。

参考・引用

(6)Arsenic filtration pictures
(7)water.info
(8)Danger of Sono Filter in Bangladesh
(9)日本ポリグル株式会社
(10)「ヒ素含有被処理水の浄化処理方法」
(11)「鉄ハイブリッド型砒素除去フィルターの適正化と持続化に関する研究」
(12)アジア砒素ネットワーク
(13)Arsenic sinks to new depths




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