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技術とビジネスを用いた新しい開発援助の方法 ~技術の力で途上国の課題を解決する~

 2014年2月5日



こんにちは。

STONE新入りの中村です。読者の皆様どうぞよろしくお願いいたします。

みなさんは「適正技術」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?適正技術は近年国際開発の分野で脚光を浴び始めている言葉です。今回の記事では、私の方から適正技術について簡単に紹介させていただけたらと思います。

適正技術(Appropriate Technology)とは?

まず適正技術について、国連フォーラム私の提言第28回「日本の大学にも適正技術教育の導入を」を引用しながら、ご紹介させていただきます。

適正技術はもともと「中間技術(Intermediate Technology)」という名前で提唱され、ハイエンドでもローエンドでもない「中間に存在する技術」が多くの雇用を生み出すとされました。
中間技術の特徴は、

  • 小型
  • 単純
  • 安価
  • 非暴力

という4つに代表されています。しかし、中間技術という言葉はハイテクとローテクの間、という相対的な位置を意味する言葉で、必ずしも適切な技術を意味するものではなかったため、これら4つの特徴を引用しつつ、新しい概念として「適正技術(Appropriate Technology)」という言葉が生まれました。

そして現在、適正技術とは

  • コミュニティーの多くの人が必要としている
  • 持続可能性を考慮した原材料、資本、労働力を用いる
  • コミュニティーの中で所有、制御、稼働、 持続が可能である
  • 人々のスキルや威厳を向上させることができる
  • 人々と環境に非暴力的である
  • 社会的、経済的、環境的に持続可能である

という条件をすべて満たす技術のことを指しています。

さて、このような定義を持った適正技術とは具体的にどうのようなものなのでしょうか?適正技術を扱っている組織団体である、MIT(マサチューセッツ工科大学)D-lab特定非営利活動法人APEXを紹介しながら、具体的な適正技術を見ていきたいと思います。

MITのD-labから生まれた適正技術

MIT(マサチューセッツ工科大学)では、2003年よりAmy Smith氏によって始まった国際開発と適正技術に関するコースが行われており、D-labのミッションは「適正技術を開発、実装することによって、低所得者層の生活の質を向上させる」こととなっており、「適正技術」と「国際開発」を組み合わせた実学重視の工学教育カリキュラムは、もの作りのスキルを伸ばすだけでなく、社会問題への視野を広げることにもなります。また、国際開発に関わるNGO/NPOに就職する学生や、 授業から起業する学生も多く、地球規模の問題解決に向けた人材育成につながっているとのことです。*¹

このD-Labから生まれたテクノロジーには、写真1のような自転車の回転を用いたコーンの実を剥くものや、写真2のような農業廃棄物から炭を作るものなどがあります。

写真1:自転車の回転を用いたコーンの実を剥く技術

写真1:自転車の回転を用いたコーンの実を剥く技術


写真2:農業廃棄物から炭を作る技術

写真2:農業廃棄物から炭を作る技術

特定非営利活動法人APEXから生まれた適正技術

特定非営利活動法人APEX(Asian People’s Exchange)は、アジアの人々の生活向上や環境の保全を目ざして活動を続けている国際協力NGO(Non-Governmental Organization)です。1987年の設立以来、インドネシアを主な活動のフィールドとして、現地のNGOと協力しつつ、排水処理、バイオマスエネルギー開発、職業訓練などの事業を行っています。活動を行うにあたっては、それぞれの地域の状況に適し、住民が参加しやすく、環境にも負担をかけない適正技術の開発と普及を重視しつつ、問題解決のための具体的な代案をつくりだすことに努めているとのことです。

適切な写真が見つからなかったのですが、粘土を触媒とする独自の流動接触分解ガス化技術により、幅広いバイオマス原料を効率的にガス化して燃料生産や発電に利用するプラントを作っていたり、または現地に適合的な安価で運転管理の易しい排水処理技術の開発と普及を行っています。

適正技術とBoPビジネス

D-labとAPEXを見ると、どちらも適正技術の要件である『現地にある材料を用い、現地でも管理や修理が可能であり、また環境への負荷も少ないなど』、様々な点に配慮していることに気づきますが、その扱う規模の大きさには違いがあるのが感じられます。
適正技術の普及において、特に個人が所有する適正技術は、ビジネスという側面から考えられることが多く、いわゆるBoPビジネスの文脈で語られています。というのも、その適正技術へのニーズは非常に高く、また途上国においてそのニーズは共通のものであるという背景があります。今回紹介したD-Labから生まれた適正技術がこちらに近いです。

実際D-labは、授業の最終課題を『適正技術を用いたビジネスプランを作り、学内外のビジネスプランコンテストに参加する』というものになっており、ビジネスを意識して適正技術を捉えていることが分かります。また日本においても、適正技術のプロトタイプとそのビジネスプランを合わせて評価を行うSee-Dコンテストが行われており、先日2013年12月14日に第3回目となるコンテストが開催されました。

一方で、APEXの行っている活動はプラント建設のように規模が大きく、BoP層を対象としたビジネスとして適正技術を捉えている訳ではなさそうです。一口に適正技術と言っても、色々な種類がありそうです。

従来の開発援助の形とは少し異なり、適正技術・ビジネスという側面から開発に貢献していくというのは面白い視点だと思います。今後、適正技術の取り組みがどんな効果を実証していくのか?どんな拡がりを見せていくのか?をウォッチしていくと同時に、もう少し適正技術について深堀していきたいと思います。


※現在STONEは発展途上国に関わるあらゆることについて学び考えたい人たちにとってのゼミ・ラボといった存在であるべく活動しています。毎週末、一つのテーマを取り上げて考え議論するような輪講を行っています。皆さんも考えたいテーマがあればぜひ気軽に持ち寄って一緒に議論をしましょう。興味のある方は、info[@]seize-stone.com または、twitter:@seize_stone 宛にお気軽にご連絡ください。

*¹UTB Japan:http://dlabjp.blogspot.jp/2010/02/d-lab.html
写真1:PeaceCorps.45thSFF.WDC.10July2011より
写真2:PeaceCorps.45thSFF.WDC.10July2011より

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