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数字で見る:アジア(と少しアフリカ)の経済と医療事情を調べてみた

 2013年11月4日

こんにちは、STONEおだです。
日頃から興味を持っていても、途上国の事情を数字で見る人はあまりいないのではないでしょうか。私自身、恥ずかしながらあまりデータを参照することができていません。そこで、データを見ることに慣れる、データを見る習慣をつける、そしてその結果をみなさんに共有する、という目的から作成したのがこの記事です。
今回はアジアの国の経済と医療について、調べてみたものをまとめました。調べている途中で脇道に逸れ、少しだけアフリカのデータも取り上げています。ちなみに、今回利用したのはGoogle Public Data Explorerです。ネット上にあがっているデータを利用してグラフを作成できるツールで、非常に面白いのでみなさんもぜひ使ってみてください。

アジアの経済状況を数字で見る

アジア各国GDP

GDP in Asian countries
わたしが任意で選んだアジアの国のGDP(MER、2013年10月)の経時グラフ。国のGDPの総体としては日本と中国ですらこれだけ離れているのだなぁということ、同時に他の国々と中国・日本の間にも大きな差があるということが実感できるグラフです。
せっかくなので日本のグラフを見てみますと、1964年の東京オリンピック以後くらいからじわじわと日本経済が伸びています。1980年代中盤まではその伸びは続いていますが、傾きが変わっていないことから昨対比での成長率は落ちていたことがわかります。1970年代は60年代後半の好景気が終わって、世界的な出来事も重なって不況に入り、1974年には実質経済成長率が-1.2%になっていたようです。そして1985年あたりから急激に伸びているのが、バブルの始まりです。バブル自体は1991年初めにはじけたようですが、グラフ上は1995年くらいまで伸び続けていますね。
こうやって見ていくと、日本のこれまでの発展はバブルのおかげと言いますか、金融政策ありきでのことだったのかなと感じますね。

中国と日本を除いた、アジア各国GDP


先のグラフだけではアジアの他の国の数字がぼやけてしまうので、アジアの国だけでのグラフを作成しました。
表示しているのは、インド、インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、シンガポール、パキスタン、ベトナム、バングラデシュ、ミャンマー、カンボジアのGDP(MER、2013年10月16日)2012年以降の破線は予測値です。人口が違いすぎるのでしょうがないのかもしれませんが、アジアの途上国間でも差がありますね。2018年でようやくインドが、1985年頃の日本と同じくらいのGDPになるという見方ができるとすると、10億人を超える人口を誇る国ですらこのスピードか、という気がします。効率的に生産に関われていない人たちがどれだけ多いことか、というところでしょうか。

東南アジア(アジア太平洋地域)各国の一人あたりGDP(PPP)


1人あたりGDP(PPP)も調べてみました(この棒グラフを作ろうとするとなぜか国がAPAC単位になってしまったので上のグラフとは異なる国のデータになってしまっているのですが)。これで見ていくと新興国勢の中ではマレーシアが少し飛び抜けていますね。次にタイ、中国。そこからだいぶ離れてインドネシア、モンゴル、フィリピン、ベトナムと続き、カンボジアが最後。中国以外は国の総GDPを見た時の序列と変わりはないようです。個人的にはベトナムはインドネシアやフィリピンよりも発展しているようなイメージがあったので、ベトナムの値の低さが意外でした。

アジアの医療事情を数字で見る

医療費に関するバブルチャート


Google Public Data Explorerはバブルチャートも出せるので、何かおもしろいことが出来ないかなぁといじってみて作ったのがこちらのチャート(こちらもAPACのみ)。縦軸に国のGDPに占める医療費の割合、横軸が医療費の総支出に占める公共支出の割合、バブルサイズが一人あたりの医療費を表しています。一人あたりの医療費を見てしまうと、先進国と比べてどの国も小さくなってしまいますので今回は触れないとして。差が出ているのは医療費に占める公共支出の割合ですね。タイが一番政府からの支出が多く75%、マレーシアと中国がその次で55%前後、ベトナム・フィリピン・インドネシアは35%前後、カンボジアが22%、ミャンマーが12%くらいとなっています。
公共医療費がどのようなものなのか、よく知らない状態での推測ですが、これは恐らく健康保険によって償還されるものかと思います。もしそうだとするなら、保険加入率が高い、または、保険によって支払われる医療費が大きいことによって、この割合は上がりそうです。この理論で行けば、国が発展し保険制度が整っている国が右に行くことになるのですが、バヌアツの90%という割合も気になります。残念ながら保険加入率のデータがすぐには見当たりませんでした。
タイの公共医療支出の割合が高いのは人口動態的に少子高齢化の時期に差し掛かっているからかもしれません(このリンク先が参照しているのはCIA Factbookです)。

次に気になるのは、ベトナムのGDPに占める医療費の割合が7%程度と他の途上国に比べて高いことですが、これも根拠を探し切れませんでした。ただ、ニュースとしてよく見つかるのがベトナムは医療費の引き上げが行われているというものです。ほかの国に比べて医療費自体が割高になっているのかもしれません。

東南アジア各国の一人あたり医療費(PPP)


一人あたり医療費(PPP)を見てみると、ベトナムはやはり少し高めで231ドル、フィリピンは168ドル、インドネシアは126ドルでした。ベトナムの医療市場の比率が大きい理由、気になります・・・。また、上のバブルチャートでも特徴的であったシンガポールの医療事情も気になります。シンガポールに関しては少子高齢化が進んでいるようなので(元データは Department of Statistics Singaporeと検索すれば探すことができます。)、そのせいで一人あたり医療費が大きくなっていると考えられます。そのような状況にも関わらず国の負担割合が低いので、シンガポールの人々は大変なのではないでしょうか。

東南アジアの寿命と一人あたり医療費


また別のバブルチャートを作ってみました。こちらは縦軸に寿命、横軸に一人あたりの医療費(PPP、2005年のUSドル)を取っています。これを見ますと、ベトナムは一人あたり医療費の割に、寿命が長いことがわかります。一人あたりの医療費自体が高めであることも含めると、ベトナムは健康に気を使っている国のように見えてきますね。逆にタイやマレーシアの方が、医療設備や制度が整っている割に何か問題がありそう、という見方もできそうです。
カンボジアは同程度の一人あたり医療支出の国々と比べると寿命が短いことから、医療環境を整えることが国としての課題なのではないかと考えられます。

アフリカの医療事情も数字で見る

世界各国の寿命と一人あたり医療費


気になったので、世界の国すべてのデータを使ってこの散布図を描いてみました。急なカーブではありますが、傾向が完全に出ています。一人あたり医療支出500ドル、2000ドルあたりが医療の発展度合を区分するのに使えそうです。傾向が見えると、そこから外れた国に目が行きますよね。曲線から大きく外れた国を確認してみたところ、赤道ギニア、南アフリカ、ボツワナ、スワジランドでした。

世界各国の寿命と一人あたり医療費(Log)


さらに、きれいな曲線だったのでX軸のLogを取ってみました。一人あたり医療支出200ドルも指標として使えそうです。東南アジアのみの散布図にさかのぼってみると、インドネシア、フィリピン、ミャンマー、カンボジアの4カ国は、200ドルまでもう少しのようですね。

また、Logを取ると差が顕著に見えてきます。特に、赤道ギニア、南アフリカ、ボツワナの3カ国の異常さが浮き彫りになっています。
ボツワナの死因の一位はエイズで2010年時点で死因の45%をエイズ/HIVが占めています。HIVの潜伏期間は諸説ありますが長くても10年くらい(日本では短くなっているようです)で、性交を始める年代を考えると、エイズ/HIVで命を落とす人々は若い世代であることが推測できます。
赤道ギニアの死因ランキングを見てみるとボツワナとは事情が異なっていて、2010年時点でインフルエンザや肺炎が一位であったり、どれか特定の要因に集中したりしていないことがわかります。

アフリカの幼児死亡率と平均寿命


インフルエンザや肺炎、下痢が上位の死因に来ていることから、幼児の死亡率が高いのではと仮説が立てられます。そこで5歳以下1000人あたりの死亡数をY軸、寿命をX軸に取った散布図を作成してみたところ、幼児死亡率と寿命には負の相関が見られました。よくよく考えると平均寿命の算出方法をしっかりと確認せねばならない気がしますが、幼児死亡率が高いことによって引っ張られてしまい寿命が低い値となっているのではないかと思います(このまま調べ続けると一向に記事を書き終わらなくなってしまうので、今回はここでストップします)。脱線しますが、幼児死亡率という観点で見ると、赤道ギニア、ボツワナよりも深刻な状況の国がいくつもありますね。

そのほか、寿命が50歳前後の国を確認していったところ、アフリカの国ばかりです。アフリカの国々が非常に難しい状況にあることがわかります。このような状況となっている理由を考えてみると、いくつか仮説を立てられそうです。まず1つ目に考えられるのは、アフリカの国々は首都から離れた地域に人が点在しており、かつ、都市部へのアクセスが難しいために、都市部の医療が地方の人々に届いていないという仮説です。2つ目は、紛争などによって若くして命を落とす人が多いのではないか、ということです。

南アフリカは国として特殊なので、ここでの考察対象からは除外します。一人あたり医療支出が高くなっているのは一部の富裕層に引っ張られた結果と考えられるからです。
※ちなみに国際開発などを専攻されていたメンバーの話によると、アフリカの統計は雑なため研究論文などにおいても使わないように指示されるようです。なので今回利用しているデータももしかしたらインチキかもしれませんね・・・。


数字で見るシリーズは今後も続きます
いかがでしたでしょうか?今回データを色々と調べてみて、発見がたくさんありました。数字の結果から因果を考察することまではまだまだできそうにありませんし、現状を数字で正しく把握するだけでも非常に有意義だと感じていますので、これからもこのシリーズを続けていこうと考えています。
また、今後STONEでは、オフラインでの勉強会に力を入れようと思っています。勉強会では、下記のような内容を予定しています。

  1. STONEメンバーが、この記事程度の粒度で特定のテーマに対して下調べしてくる
  2. 勉強会のその場で、みんなでディスカッションをして仮説を立て、ソースを調べながら考察を立体的にしていく
  3. 調べたことを記事、または、パワーポイントなどで資料化する
  4. 資料化したものをSTONEのブログにあげる

プロフェッショナルの方々にご協力を得て、考察に指導を入れてもらえたら理想ですね。詳細は別途アップする予定でおりますので、興味のある方は奮ってご参加いただければと思います!

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