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開発と幸福のジレンマ

 2011年6月16日


こんにちは。

今回は、開発と幸福について自分の考えも交えて書きたいと思います。先日 @laura_kaoriさんが、「貧しさの測り方」という記事を寄稿してくれましたが、関連する部分がありますので、そちらも併せてご覧ください。


1. 映画「幸せの経済学」

私は先日、「幸せの経済学」というドキュメンタリー映画を観ました。

地域が発展・近代化していくことが必ずしも、その地域に住む人々の幸せとは結びつかない。グローバリゼーションによって人々はどんどん自分らしさを失っていっている。利益だけを追い求めるのは止め、よりシンプルな、地産地消の世の中へ変えていかないか。

これが、その映画から読み取れたメッセージでした。

ドキュメンタリー映画「幸せの経済学」

なぜそう主張するのかは、映画の中にポイントが良くまとまっています。ここに書くとネタバレになってしまいますので、興味のある方は観てみてください。


2. 実現したい社会

あなたが途上国に対して何かしたい、(ビジネス目的などではなく)その地域の発展のためにアクションを起こしたい、そう思って活動するとき、あなたはどんな世界を実現したいと思っていますか?

たとえば・・・
■その地域が経済的に発展すればいいな。
■その地域に住む人たちがもっと豊かな生活を送れるようになればいいな。
■一日2ドル以下で暮らす人がもっと減ればいいな。
■飢えがなくなればいいな。


それぞれいろいろな想いがあって活動していると思います。
「いやいや、私はただ目の前で困っている友達を助けたいだけだよ」という人は、じゃあその友達が数年後にどのような姿でいれば自分は目的を達成したと言えるのか、考えてみてください。なんとなくではなく、はっきりと情景を思い浮かべることが重要だと思います。
そして、それを実現するために、じゃあ何をすべきなのか、どこからアプローチすべきなのかを考えて活動するのだと思います。


3. 開発と幸せ

しかし、この映画は、「さらにその先に何があるのか?」という疑問を投げかけます。
つまり、地域が発展して、人々が豊かな生活(何をもって豊かとするかも疑問ではありますが)を送れるようになって・・・さて、その人たちは本当に幸せなのですか?と。

日本を見れば、人々は時間に追われ、電車では疲れた顔ぶれ、そして自殺率も非常に高いという事実があります。このような社会を目指すことが理想であるとは誰も思わないと思います。私たちは「開発」というとき、どのような社会の実現を目指せば良いのでしょうか?


4. GNHという指標

さて、近年GDPやGNPにとって代わる指標としてGNHが注目されています。GDPはGross Domestic Product(国内総生産)、GNPはGross National Product(国民総生産)、そしてGNHはGross National Happiness(国民総幸福量)を指します。
GNHは、1972年にブータンの国王によって提唱され、その考えはブータンにおいて受け継がれてきました。国民の幸福を実現することが、政治の責任であり、また地域が発展した先に目指すべき究極目標だと考えられました。

世界的に、これまでGDPが国の豊かさをはかる主たる指標として使われてきました。しかしGDPは、生産と消費に傾いており、保全や保護とは反する概念です。そしてこの、国際的に主流である指標が、国々の政策を左右します。環境保全・文化・コミュニティ結束といったことを犠牲にしてでも、「速く」物質的に進歩することを目指した政策が良しとされるのです。そして、この指標によって人間の価値観もまた左右されることになるのです。

物質的・金銭的豊かさだけで、人間の本当の豊かさを推し量ることはできない。」GNH推進派の考えはこうです。こういった考えが国際的に広まっていったことで、2008年にGNH指標ができました。

GNH指標は9つのコアとなる側面を持ちます。
1. 心理的な幸福
2. 時間の使い方
3. コミュニティ(の存続力、バイタリティ)
4. 文化
5. 健康
6. 教育
7. 環境(的多様性)
8. 生活水準
9. ガバナンス

この9つの側面において充足感を得ているということ=幸福な状態とみなされます。


5. 課題

しかしGNHを、GDPにとって代わるような国際的な指標として使っていくには課題もあります。GNHは主観的な幸福の捉え方に依存するため、政府は自分の都合の良いようにGNHを定義してしまう可能性があり、国同士で比較を行うことも難しくなるということです。


6. 最後に

改めて、あなたはどんな社会を実現したいと考えますか?そしてそのためにどんなアプローチが考えられるでしょうか?

グローバリゼーションが進行する中で、世界中で共通の価値観が生まれつつあります。先日の勉強会でも話が出たのですが、途上国の人々は、日本のようなテクノロジー社会に漠然とあこがれを抱いているかもしれません。自殺率の高さなどを知りもせずに。
私たち先進国は、支援や開発という名のもとに、途上国を、彼らの意思とは関係なく、グローバリゼーションの荒波に晒してきたとも言えるでしょう。幸福や精神的な豊かさを考えたときに、先進国の姿が絶対ではないということを伝えるのは、私たちの役目なのかもしれません。


参考

Gross National Happiness – The Centre for Bhutan Studies
ドキュメンタリー映画「幸せの経済学」ウェブサイト
Wikipedia – Gross National Happiness



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