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途上国と知的財産権問題 <後半>

 2011年10月2日

途上国と知的財産権問題の後半です。

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途上国においての知的財産権の現状

 水準の低い途上国における現状はどのようになっているのでしょうか?
大きな問題としては、

  1. 不正商品問題
  2. 技術移転問題

の2つが挙げられます。

arm & hatchet, arm & hammer

 まず、(1)不正商品問題に関してですが、海賊版や偽ブランド品などのillegalな商品を先進国に輸出したり、自国の市場で取引を行ったりしているという問題です。これは、確実に違法性があります。この不正商品によって起こる障害というのが、真正商品が市場から駆逐され、また質の悪い不正商品を提供することによってそのブランドのイメージが壊されてしまうということです。しかし、更に長期的な問題としては、その真正商品を自ら生み出さず、廉価で生み出すことの出来るコピー商品で代用することによって技術進歩に力を入れなくなってしまうということです。
 (2)技術移転問題に関しては、特許制度において先進国からの特許及びそのライセンスによる技術移転の恩恵を受けられないということです。というのも、先進国が

  1. 現地で自ら生産する(海外直接投資)
  2. 自国で生産して現地に輸出する
  3. 現地の企業にライセンスして生産させる

の3パターンの内、最も効率の良い方法が(1)(3)であった際に初めて現地で生産を行うことができます。しかし、特許発明は現地で「実施」されず、生産現場での技術移転が起きないという自体が起こり、また、ライセンス料が高額すぎて、契約が成立しないケースもあります。このように技術が途上国に移転できないという状態が問題となっています。

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先進国と途上国の観点の相違

 TRIPs協定での衝突でもあったように、先ほどの2つ(1)不正商品問題と(2)技術移転問題に対しても、先進国と途上国はそれぞれの立場があり、それぞれの見解があります。ではそれを対比させて見てみましょう。
 (1)不正商品問題では先進国側の言い分としては、「真正商品が売れなくなり、商品を提供している企業の利益を奪う」「ブランドイメージを損なう」が挙げられます。一方、途上国側の言い分としては、「真正商品は高価すぎて手が出ない」「既に市場が形成されてしまい、問題の解消や体系の変更にはコストもリスクも必要」という意見があります。
 (2)技術移転問題では先進国側は「独占権が研究開発のインセンティヴになる」「他社の研究開発のアイディアの源泉になる」「ライセンス(有償の技術供与)が活発になる」一方途上国側は「人材、資本、インフラが十分でない途上国では、独占権だけあっても研究開発のインセンティヴにならない」「技術情報だけあってもヒントとして利用できない」「先進国の企業が途上国の企業にライセンスするかどうかは、企業戦略に依存する」という言い分が両者にあります。

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真のハーモナイゼーションとは

Harmony Day

 上記の様子を見ていると、それぞれがそれぞれの言い分を固持して動かない様子が見てとれます。例えば、先進国側は不正商品問題の解決策として途上国に対し、実体法の制定とエンフォースメント(法や制度などを実際に行使すること)を求めていますが、それを行った所で、途上国にはメリットではなく、デメリットの方が多い、ということは容易にわかります。先進国のエゴと捉えても良い部分があるだろうと思います。しかし、技術移転問題に関しては、TRIPs協定に於いて医薬品に関しては特許に関して特例が設けられるなどの柔軟な対応も見られます。

 現在、知的財産権の国際レジームはパワーの大きい先進国主導となっています。真のハーモナイゼーションとは、先進国が途上国に対して歩み寄る姿勢を見せることであり、途上国を先進国の発展の道具として見ること(特に技術移転問題に関しては如実)を断ち、互いの発展を支援し合うことなのではないでしょうか。これが達成されてこそ初めて「通商国家」としての国際秩序はより堅実になり、知的財産権は意味を持つこととなると思うのです。

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参考・引用

http://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/wakasugi/03.html

http://www.oocities.org/tokyo/teahouse/2050/IR0fIPR.pdf

http://www.iip.or.jp/summary/pdf/detail06j/18_19.pdf

http://www.jbic.go.jp/ja/investment/research/report/archive/pdf/17_01.pdf


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