太平洋に浮かぶ国バヌアツ共和国と水問題
今日は【コラム】ということで、太平洋に浮かぶバヌアツという国についてご紹介したいと思います。
私自身今までは名前を知っている程度だったのですが、UNDPのWEBサイトを見て興味を持ったので調べてみました。
国際協力に関係あるの?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、何も困っている人や悩ましい問題だけ(バヌアツにも問題はあるわけですが)に焦点を当てることが国際協力ではないと私個人は考えています。話題性の問題もあって日本ではなかなか注目されない国もたくさんあるので、世界の国々に目を向けるという点でこの記事がみなさんの興味関心に繋がって、その先に課題解決へのアクションが生まれたらなと。
目次
1.バヌアツ共和国概要
2.バヌアツの抱える水問題
3.観光地としてのバヌアツ
4.日本とも関係のあるバヌアツ
5.最後に
1.バヌアツ共和国概要[(1)]
人口:21万8000人 首都:(ポートビラ-3万4000人) 国土:1万2190平方キロメートル 言語:英語、フランス語、ビジン英語他 宗教:プロテスタント 伝統宗教:ローマカトリック 通貨単位:バツ(1バツ約1円) 平均寿命:67歳 国民一人あたりの国内総生産:2900米ドル 識字率:53% |
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2.バヌアツの抱える水問題[(2)]
バヌアツの水問題を簡単に説明しますと、水を得るために多大な労力と時間を要することと、地球温暖化などによる海面上昇によって、地面を掘って得ていた水の塩濃度が高くなってしまっていること(塩濃度が濃いと何が起こるのかはwikipedia:サバイバルへ)です。
そこでUNDPを始めとした組織が水道整備を行い、安全な水が供給されるようになりました。また、彼らは水道水のサステナブルなものにするための研修や収益化に取り組んでいます。
以下はUNDP:Water project making life easier for Ekipe villagersの内容を和訳引用したものです。
北エファテ島-1年前まで、バツアツ、北エファテ島にあるエキプの村の人々は流水へアクセスすることができませんでした。5人の子どもを持つマリ-のような母親は砂に穴を掘り、新鮮な水が湧き出てくることを待つしかなかったのです。
「私たちは40マイル離れたヴィラ港まで物を売りに行き、遅くに帰ってきます」とマリーは言いました。水源も家から離れた場所にあるため、水を集める作業もとても大変でした。水汲みは大変な作業でしたが、バヌアツにあるたくさんの地域のコミュニティは新鮮な水を利用していました。
ですが悪いことに、海面の上昇によってエキプの水の塩濃度が上がり、特に女性や子どもたちにたくさんの健康面での被害を受けるようになってしまいました。
そんなエキプの村でしたが、今日ではUNDPなどによって行われた地域の水道管につながれた水道を75世帯に導入したプロジェクトによって、流水にアクセスできるようになりました。
UNDPのパートナーであるNZAID(ニュージーランドの援助機関)の技術的な支援によって、エキプの村の人々は配管工事と各家のお風呂やトイレの建設のトレーニングを受け、またこの配水を持続的なものにするために、基金管理の方法と導入された水道を利用して利益を上げる方法についても学んできました。
流水へのアクセスはバヌアツを頻繁に襲う嵐へのより良質な対策としても貢献してきました。砂と水から出来たレンガを使って、村人たちはサイクロンにより対応できる強度の高い家の建設もできるようになりました。
世界中で流水へのアクセスに関して進歩してきてはいますが、田舎の地域では依然として不便な状態が続いています。特にオセアニアでは水道官の普及率が都心91パーセントに対して37パーセント、サブサハラアフリカでは都心83パーセントの普及率に対して田舎は47パーセントという状況です。
エキプでのプロジェクトのような先導活動を通して、UNDPは2015年までに持続的な安全な水と基本的な衛生を獲得できない人々の人口を半分に減らそうと活動しています。MGDsの7つの目標のうちの1つです。
「きれいな水を使用できること人間としての権利です」バヌアツのナショナルコーディネーターであるLeah Nimohoさんはいいます。エキプではキッチンの近くからすぐに水を持ってくることができ、そのおかげで、水を探しまわらずに勉強やその他の作業により時間を費やすことができるようになりました。
水へのアクセスを開拓するだけでなく、その水を持続的に使用するための研修や収益モデル作りなどに取り組むというところが大切ですよね。もし他にもこういった、何かをあげたりすだけでなく、現地の人たちの力でうまく回っていくことまで考慮した支援の事例がありましたらぜひ教えてください!
3.観光地としてのバヌアツ[(2)]
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海がとてもきれいなリゾート地として実は観光業に力を入れているバヌアツ。旅行口コミサイトを見ると、たくさんのキレイな海の写真がアップされています。のんびりとした時間を過ごしたい方にはオススメだそうですよ。 >>旅行のクチコミサイト フォートラベル – バヌアツ口コミガイド |
4.日本とも関係のあるバヌアツ[(3)(4)]
実はバヌアツは日本のJICAが事業を展開する国でもあります。JICAのHPを見る限りではいわゆるインフラの協力をしているようですね。日本は、バヌアツへの援助が金額ベースでオーストラリア・アメリカについで、フランスと同額3位とのことです。
また、バヌアツと日本は経済活動でも関係を持っています。
(1)貿易額(2009年度、財務省貿易統計)
バヌアツへの輸出 37億円
バヌアツからの輸入 28億円
(2)日本からの直接投資 49億円(2008年度)
(3)進出日本企業数 3社(2007年現在)
[外務省:バヌアツ共和国より]
日本の貿易額(輸出総額(確定値):54兆1706億円, 輸入総額(確定値):51兆4994億円[財務省貿易統計])に対して比率にすると0.007%ほどしか占めていないことになりますが、金額の絶対値としてはバヌアツにとってそれなりに大きいのではないかと思います。
ちなみに、輸出品はコプラ(植物)、木材、牛肉、カヴァ、ココア。
輸入品は機械・輸送機器、食料品、日用品だそうです。
また、日本人の方でバヌアツ産のバニラビーンズを販売していらっしゃる方がいるみたいですね。
>>バヌアツ産バニラビーンズ店Vanillapo バニラーポ
5.最後に
いかがでしたか?
世界には本当にたくさんの国とその土地特有の問題がありますね。
国際協力を一種の流行として消費してしまわないようにするためには、テレビなどだけでなく、こういった国や問題もあるということを知ること、表に出てきにくい情報に自ら触れていくこと、がまずは大切かなと思います。
水問題への取り組みも現地での持続可能性を考えたおもしろい事例でしたね!繰り返しになりますが、類似の事例をもしご存知でしたらぜひ教えてください!
それではまた。
参考・引用
(1)NATIONAL GEOGRAPHIC –バヌアツ
(2)UNDP:Water project making life easier for Ekipe villagers
(3)旅行のクチコミサイト フォートラベル – バヌアツ口コミガイド
(4)外務省:バヌアツ共和国
(5)JICA-バヌアツ
(6)バヌアツ産バニラビーンズ店Vanillapo バニラーポ
(7)北海道のボランティア総合サイトぼらなび
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[...] This post was mentioned on Twitter by めいこ, 織田哲朗. 織田哲朗 said: 【国際協力界隈の人へ】バヌアツって知ってますかー?⇒【コラム】太平洋に浮かぶ国バヌアツ共和国と水問題| #STONE_Blogs http://t.co/KdWSczT via @seize_stone [...]
バヌアツ共和国と水問題という興味あるアーティクルを読ませていただきました。
水問題は、21世紀の大きな課題です。NHKによれば、200兆円の世界マーケットがあります。
さて、
小生は、太陽エネルギーから発電するタービンの研究を25年以上行ってきました。
この技術は、漸く、最近完成しました。
いま、これをバヌアツのような島嶼国に応用できないか、検討しています。
太陽エネルギーを使って海水を淡水化するのです。
効率は、太陽電池の数倍あります。
21世紀の日本の役割は、軍事力を増強して、他国との戦争に備えるのではなく、技術力・文化力を使って、島嶼国や開発途上国を支援するのが大切だと思います。
では、また。
(c)harbeman 150315
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