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途上国における過剰都市化とスラム – 貧民たちはどこに住んでいるのか

 2013年12月2日

こんにちは。STONEのぬのいです。

世界の政府関係者がもっとも頭を悩ませていることの一つが、スラムであると言っても過言ではないかもしれません。とりわけ急成長を遂げる、アジア・南米・アフリカの諸国において、スラムも同時に拡大を見せています。そもそもスラムとは何であるのか、今回はマイク・デイヴィス著の『スラムの惑星』を元に紐解いていきたいと思います。


スラムとは


2002年、国連会議においてスラムは以下の特徴を擁するとされました。

- 人口過密
- 貧困
- インフォーマル住宅
- 安全な水や下水設備へのアクセスの不十分さ
- 借地借家権の不安定

スラム人口を少なく見積もりたい役人にとっての都合の良い見方も含まれるため、とても包括的な定義とは言えないのですが、それでも「上記の(少なくともいずれかの)特徴を擁している」と言うことはできるでしょう。(※より社会的な側面を定義に含むべきとの意見もあります。)

とりわけ発展途上国においてスラム居住者が増えるメカニズムは、多くの場合、農村部などから仕事を求めて都市に人が流れてきますが、労働力超過となったとき、行き場をなくした人々はそのまま都市周辺に住みつくといったことです。

今発展途上国で起きている都市における急激な人口増加の現象は、「過剰都市化」と呼ばれています。これまで、とりわけ今の先進国における都市化というと、「工業化が進む都市部において労働力需要が発生し、その需要を満たすために農村部の労働者が都市部へと流入する」というものでした。しかし、今発展途上国では、都市部で工業化が十分なされないままに、農村部から大量の人が押し出されるかたちで都市が人に集まっているのです。いわば、人口規模と経済規模との関係が非常に希薄な状態です。

この「過剰都市化」がスラムを急速に拡大させることにも繋がっています。

国連人間居住計画(UNハビタット)によれば、現在の「世界のスラム居住者は約10億人、全世界人口のほぼ6人に1人にのぼり、2030年にはその数は倍増する」と予測されています。
世界の人口の増加は、発展途上国の都市部において起きており、それはスラムにおける人口増加とも無関係ではありません。


スラムの種類

スラムと一口に言っても、それには様々な類型があります。
マイクによれば、貧困層がとる住宅戦略は、まず、場所がA.大都市の中心部であるか、B.それ以外の周辺部であるかに分かれると言います。それは「主要な仕事が集中する場所の近くに住む金銭的な余裕があるか否か」という違いです。

多くの場合貧民は、稼ぎを求めて大都市にやってきます。そして、様々な理由で大都市の中心部もしくは周辺部に、フォーマルまたはインフォーマルのかたちで住みつくようになるのです。

カイロの貧民の住宅戦略について見てみると、まず、
1. 主要な労働市場へのアクセスを優先し、都市の中心部でアパートを賃貸することを考えます。しかしこれは高価です。次に、
2. 中心部において、安価な家賃でインフォーマルな住宅に住むという選択肢があります。しかしこれは借地借家権が不安定で、常に移住させられるなどのリスクが伴います。そして、第三の選択肢は、
3. 周辺部において公有地をスクワット※することです。これは非常に安価ですみますが、通勤コストがかかり、公的なインフラの供給がありません。最後の選択肢は、
4. 周辺部の広大な半インフォーマルな土地で、「借地権はあるが公式の建築許可証がない宅地」を購入することです。この場合、都市の中心部からは離れていますが、巨大なコミュニティになっているため比較的安定しており、しばしば自治体サービスも受けられるということです。多くのカイロ人が最終的にこの第四の選択肢を選ぶとのことです。※スクワット:不法占拠の意


スラムの問題と対処法

スラムの辞書的な定義は、主に都市で貧民が集まって住んでいる過密集住地域です。それだけでは問題のある響きは感じられませんが、やはりそこに、インフォーマルであること(法の外側にいるということ)、不衛生な環境、犯罪の温床となりやすいことetc.などがあることが、放っておくことのできない問題させしめているのでしょう。

しかし一筋縄でいかないスラムの問題に対し、スラムを抱える国の政府・国際機関は、今日まで抜本的な解決策を提示できずにいます。多くの場合、スラムの問題への解決策と言えば、スラムを撤去し公営の住宅に住まわせることです。しかし、新たな居住者たちは家賃を払うことができず結局元のスクワットに舞い戻っていくといったことが良く起きているそうです。

次回は、とあるスラムを具体例に、もう少しスラムについて掘り下げてみたいと思います。
つづき:”世界一高層のスラム” Davidタワーから考える、スラムを取り巻く問題とは何であるか


参考


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