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途上国が抱えるトイレ不足・非衛生的トイレという問題~ソフトからの解決案~

 2014年2月17日



こんにちはSTONEおだです。前に公開した途上国が抱えるトイレ不足・非衛生的トイレという問題~ハードからの解決案~の続きです。今回はソフト面に着目したトイレの課題解決アイデアを見て行きたいと思います。

途上国でのトイレ設置におけるソフト面の問題おさらい

前回の記事では、ハード面からのアプローチ(技術)によって上下水道が整備されていない土地でも機能するトイレの例としてエコサントイレを、それからビル&メリンダ財団のトイレアイデアコンテストのお話をご紹介しました。これらの話を勘案すると『水を使わずに機能するトイレ』については解決可能として良さそうですので、それ以外の課題をもう一度並べてみます。今回はソフトの観点を含めた解決アプローチを3つ紹介しますので、これらの課題を頭の片隅に置きながらご覧ください。

  • 現地の人にはお金がない
  • トイレの価値を理解してもらえない
  • 排泄物に対する文化的な価値観
  • トイレに必要なメンテナンスが行われない

ケニアのスラムに住む人々を変えたPeepoo bag

Peepoo bag

Peepoo bag


Peepoo bagとは殺菌された袋で、2006年にスウェーデンにて設立されたベンチャー企業PeePoopleの製品です。トイレを済ませるエチケットバッグのようなもので、1回(袋)3円でどこでも衛生的にトイレを済ませることができるという代物です。これだけでも画期的ですが、Peepoo bagのもつもう一つの特徴は用を済ませたPeepoo bagは肥料として利用することができるということです。用を済ませたPeepoo bagは各自が回収場所に運び、集まったPeepoo bagは肥料として最終的に農家に売られていきます。その価値を見越して、用を済ませたPeepoo bagを回収場所に運んでくれた場合還付を受けることができます。この還付は新たなPeepoo bagを買う際に利用することができます。

お金のないスラムの人でも買うことのできる価格で、メンテナンスを要しない「袋」という形であることがこのPeepoo bagがうまく機能している理由であることは言うまでもありませんが、それ以上に重要なことは、フライング・トイレットという袋に用を足す文化がこのケニアのスラム(キベラ)に元々存在していたということです。つまり、元々存在していた排泄物に対する文化をうまく利用したということですね。このPeepoo bagは、トイレ設置の抱えている問題をすべてうまくクリアした仕組みと言えそうです。ただ逆に言えば、袋に排泄するという文化がない土地での普及は難しく、スケーラビリティがないことが想定されますので、別の土地のトイレ問題を解決するには新たなアイデアを考えなければなりません。

Peepoo bagの詳細については、ジェトロの公開しているBOPビジネス 中小企業のフロンティア 1個3円のトイレがスラムの衛生を改善がわかりやすくまとめてくれています。

WTO(World Toilet Organization)の行っているSaniShop

SaniShopは世界トイレ機構が行っている事業の一つで、トイレ建設と販売のソーシャルフランチャイズビジネスです。現地のSaniShopオーナーは、スチールや現地で手に入るセメント、パイプ、セラミック、タイルなどを利用して安価に作れるトイレ建設のトレーニングとビジネススキルの指導を受けることができます。さらに、SaniShop1店1店はマーケティングとセールスのトレーニングを受けたセールスパーソンを有しています。セールスパーソンは各コミュニテイにて啓蒙活動を行いながら、1軒1軒ドアを訪ねてトイレの販売を行っています。2012年、60人のセールスパーソンと15店のSaniShopのフランチャイズ化に成功しており、1,800のトイレに建設しているとのことです。

この事業は、トイレの普及において問題なのものはなにか?を明確に定義していて、SaniShopのウェブサイトには下記のように記されています。

There are more people worldwide who own mobile phones than toilets. Cultural norms and lack of awareness are key obstacles in triggering behavioural change among individuals who practice open defecation. Many do not see the value in investing in a toilet.

『トイレにお金を払うことの価値を理解できていないことが一番の問題である。価値を一度理解さえすれば、トイレにお金を払うはずだ。なぜなら携帯にはお金を払っているのだから。』という仮説の元に活動していることがわかります。ですからSaniShopは啓蒙活動に非常に力を入れています。

衛生的なトイレ体験で公衆衛生の概念を変える エコタクト@ナイロビ

アキュメンファンドがナイロビで支援しているエコタクトもまた、ソフト面からトイレ普及の問題にアプローチをしている良い例です。エコタクトは、清潔、美的、衛生的で、かつ便利な公衆衛生設備のサービスを全ての人たちに提供する事業をしています。彼らが提供しているトイレは、イコトイレットと言い常に清潔なトイレを提供する持続的なシステムです。ナイロビ市内と近郊においては使用料として5シリング(約6円)を支払えば誰でも利用できるそうです(スラムでは2シリングにする予定)。トイレットペーパーが備え付けられている個室や、個室の外に洗面台とハンド・ドライヤーが設置されている場所、女性用にはお化粧用直しの鏡や姿見、ベンチなどが設置されている場所があるということで、非常に洗練されたトイレになっています。さらに設備的な充実だけでなく、清掃員が一人が使う度に掃除する仕組みになっており、いつでも清潔なトイレを使用できるようになっているのがこのイコトイレットの特徴でしょうか。(記憶が定かではないのですが、恐らく使用料はこの清掃員に対しての支払いに利用されており、清掃員は誇りを持って働き生計を立てられるようになっていると聞いています。詳細は静かなるイノベーションという書籍にて取り上げられていますのでぜひ御覧ください)。マーケティングの一貫として「体験を提供する」ということはよく行われていますが、衛生問題のような言葉で説明しても伝わりにくいことだからこそ、まず体験させて価値を理解してもらうということが有用なのかもしれませんね。

さらに、エコタクトはイコトイレットの周辺にキオスクを設置したり靴磨きスタンドを設置するなどして、公衆衛生のイメージ改善にさらに磨きをかけているそうです。この事業もまた、お金の面も、排泄物に対する考え方の面も、(清潔に保つという意味での)メンテナンスの面もしっかりとカバーできていますね。トイレの技術的なメンテナンスの点や、文化的・社会的価値観すらも変えることができるのか、などについては気になるところではありますが、Peepoo bagよりはスケーラビリティがあるように個人的には思います。参照した情報は少し古いため、最近の動向を探してみます。

終わりに
ソフト面アプローチの話ではその他、インド政府がトイレの設置に積極的なのがとても面白く、トイレがないと選挙権がないという話であったり、結婚する前のトイレ設置を義務付けるという話などあります。外交的観点から、先進国と認められるようインド政府は頑張っているのですかね。

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