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サブサハラ・アフリカにおける貧困は全く減っていない。

 2013年11月9日

こんにちは。STONEおだです。
少し前にミレニアム国際開発目標(MDGs)における現状についてまとめた記事を書きました。今回はその中でも極度の貧困についてのみ、世界銀行の貧困人口に関するレポート(PDF)から翻訳して紹介します。

世界的には、極度の貧困に苦しむ人々の数は減少している

世界における極度の貧困(Extreme Poverty)は過去30年間で大幅に減少してきた。1981年には途上国に住む半分以上の人々が1日1.25ドル以下での生活を強いられていました。。この比率は2010年には21%にまで劇的に改善されました。さらに、途上国人口は59%も増加したにも関わらず、2010年時点で1日1.25ドル以下で生活している人の数は、20年前の19億人よりも少ない12億人となっています。それでも、人口の5分の1が貧困に苦しんでいる状況であることは忘れてはならないですよね。ちなみに、世界銀行は、2020年までに貧困率を9%2030年までに貧困率を3%まで減らすという目標を打ち出しています。

サブサハラ・アフリカとインドの貧困が現在の世界の貧困のほとんどを占める




2000年以前には貧困状況の改善が見られなかったラテンアメリカ地域とサブサハラ・アフリカ地域でさえも、2000年以降貧困率は減少し始めていることから、貧困をなくすという活動は非常に良い局面に入ったと言ってよいかもしれません。しかしながら依然としてサブサハラ・アフリカ地域の貧困率は高く48%となっており、1981年の51%と比べると大きな改善には至っていないのが現状です。サブサハラ・アフリカ地域に住む貧困人口は、世界の貧困人口の約35%(PDFでは34%)を占めています。貧困率としては改善されてきているインド(2010年:33%)の貧困人口が全貧困人口に占める割合は約33%であるため、サブサハラ・アフリカの国々とインドに住む貧困に苦しむ人たちの数を合わせると、全体の約68%になります。

貧困を見ていく上での指標:貧困ギャップとShared Prosperity Indicator

途上国で貧困に苦しむ人々の1日の収入(2005年PPP)は0.96ドル。1日1.25ドルとの差は0.39(PDFでは0.38)なので、1年単位で考えると365を掛けた142ドルが1人の人が極度の貧困(1日1.25ドル)から抜け出すために必要な収入となります。世界で貧困人口は12億人(2010)なのだから、142ドル×12億人=170億4000万ドル、2010年PPP計算であれば約200億ドルの収入差があるという計算です。この200億ドルという数字は世界の総GDPの約0.25%相当とのこと。この金額は貧困ギャップ(Extreme Poverty Gap)と呼び、概念的な参考数字として計算されています。

ちなみに、貧困に関する定義や指標は非常にたくさん存在します。国際開発において言及される貧困は国際貧困と呼ばれるもので、絶対貧困とも言います。指標としては1日の所得、上述した貧困ギャップのほか、貧困ギャップ比率(Poverty Gap Ratio)、2乗貧困ギャップ比率(Squared Poverty Gap Ratio)などがあります。一方、日本などの先進国における貧困は相対貧困と呼ばれ、ジニ係数や所得階層別の所得シェアなどが参考にされます。

また冒頭のリンク先にあるPDFではShared Prosperity Indicatorという指標について触れています(PDF24ページ)。

Shared Prosperity Indicatorというのはつまり不平等がないかどうかを判断するという指標ということです。ここでその指標となっているのは「国の経済的下層40%の人々の消費」です。この図は、国全体の消費額の増加率をX軸、国の経済的下層40%の人々の消費額増加率をY軸にとり、その関係を見ているものです。この図から世界銀行のレポートでは「国全体の経済的成長と下層40%の人々の経済的成長には正の相関があること」、「下層40%の消費増加率が国全体のそれよりも大きい場合、経済的不平等が減少していることを意味する」としています。

サブサハラ・アフリカ地域で貧困が改善されない理由

調べたわけではないので考察の域を出ませんが、アフリカで貧困が改善されにくい理由の一つには人口集積がうまく行われていないことがあるのではないかと思います。人口集積などについてはコンパクトシティ構想などのワードで近々調べてみようかと思っています。

そして、「なぜ人口集積が起きなかったのか?」という問に対しては、地政学、植生学的な観点から原因がありそうです。それはユーラシア大陸がなぜ発展したのか、ということにも通じるお話です。簡単に説明しますと、ユーラシア大陸は東西に長い大陸であり緯度が変わらないのに対し、アフリカ大陸は赤道をまたいで南北に長く、緯度が地域によって緯度が変わってしまうことが原因だということです。緯度が異なるということは気候が異なるということであり、食物や家畜の伝播が起きにくいことを意味します。そのために地域に最適化した生き方をしていたそれぞれの民族が集積することなく疎らになってしまったのではないか、ということです。これは、「なぜエジブト文明がアフリカ大陸全土に広がっていかなかったのか?」という観点に対してジャレド・ダイヤモンド氏が著書:銃・病原菌・鉄にて書かれている考え方です。南アメリカも南北に長いですが、この大陸は大きな山脈があることや赤道をまたいでいないことなど、アフリカ大陸とは異なる条件下にあるため、事情が異なります。詳しく知りたい方はぜひ書籍を読んでみてください。

この考え方が正しかったとしても、「ではどのようにサブサハラ・アフリカの貧困をなくしていくのか?」という課題に対する解決案に繋がるわけではありません。ですが、サブサハラ・アフリカの状況を受け止めると、今のままの経済発展だけではうまくいかないのではないか、と思わずにはいられません。こういう疑念を持ち、新しい考え方を持ち込まなければならないと切に感じます。

参考
貧困についてまとまったPDF

http://jica-ri.jica.go.jp/IFIC_and_JBICI-Studies/jica-ri/publication/archives/jica/field/pdf/200803_aid02_03.pdf

世界銀行からの貧困人口に関するリリース記事

http://www.worldbank.org/ja/news/press-release/2013/04/17/remarkable-declines-in-global-poverty-but-major-challenges-remain

世界銀行の貧困人口に関するレポートPDF

http://www.worldbank.org/content/dam/Worldbank/document/State_of_the_poor_paper_April17.pdf

End Extream Poverty And Promote Shared Prosperity
http://www.worldbank.org/content/dam/Worldbank/document/WB-goals2013.pdf

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