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BOP提唱者のStuart Hartさんインタビュー記事;BOP1.0からBOP2.0へ

 2011年6月29日

こんにちは。
Times of Indiaより、BOP (Bottom of the Pyramid)提唱者Stuart Hartさんへのインタビュー記事を和訳して紹介したいと思います。



―――――以下和訳引用(小見出しはこちらで挿入しています。)―――――


C K PrahaldStuart HartBoPの富について紹介してから十年ちょっとが経った。そのコンセプトは、会社がどのように、貧困ラインより下にいる低収入の巨大な消費者たちを、うまく利益が出る形でターゲットにできるか、という課題を扱った。Hartは今、そのコンセプトが完璧ではなく、コンセプトの開発者も会社も機会を見誤ったと認めた。TOIとのインタビューで、Hartは、なぜBoP1.0が今BoP2.0へと進化するべきなのか、過去の失敗をもとに語った。


予想外の反響とは裏腹に成功例の少なさ

―あなたのBoPモデルの成功をあなたはどう評価しますか?

私が思うに、Prahaldと私は、たぶん、巨大なマーケットがBoP層に眠っていることを最初に確認し、声に出して明確に伝えた第一人者だったのでしょう。我々は最初そんなに深刻には捉えていなかったのですが、今では企業がそのアイディアを盛り上げるようになりました。我々は、インドや世界中の企業主導のイニシアティブで、このマーケット(BOP)について話をしました。

マイクロファイナンスや地方の電子通信をのぞいて、我々が語れるようなしっかりとした成功ストーリーはありませんでした。私たちは皆、今ではBoP市場のポテンシャルを理解していますが、その市場に対して正しくアプローチはしてこれていません。こういった過去の失敗から、今私は、BoP2.0プロトコルを提案します。


ニーズを無視した低価格製品から、様々なステークホルダーとの共同開発へ

―何が失敗でBoP2.0が持つ違いとは何なのでしょうか?

私たちは、この市場に対して価格の安い製品を作るということを見てきたように思います。しかし、これら製品の多くは、消費者のニーズを理解しないまま、会社内の研究開発センターによってデザインされてきました。企業は典型的に高級市場において需要を作り出すことに合わせます。Bottomセグメントのニーズを理解するにあたって、ターゲット市場の社会経済や政治的枠組みを頭に入れておくことは欠かせません

新しいBOP2.0プロトコルは貧しいコミュニティと共に製品をつくるということを提案します。これは、コミュニティのリーダー、NGO、会社の役員など様々なステークホルダーと共に製品を開発する委員会をつくることによって可能になるでしょう。BoP2.0はまた、環境や自然資源を守る持続可能なテクノロジーを使うことを提案します。


ナイキの失敗とChotuKoolの成功

―実際の例を使って説明してもらえますか?

ナイキワールドシューイニシアティブは、“すべきでないこと”を象徴するケースです。それは、途上国世界に対して、彼らが購入可能(価格的に)な運動靴をつくるというアイディアでした。ナイキは2人のデザイナーを中国に送り、彼らは12ドルの運動靴をつくりました。彼らはShanghaiとBeijingにもともとある、高性能のナイキ製品を売っている店で、低コストの靴も売ることにしました。彼らのターゲットである顧客層は、これらの店で買い物したことがあるはずがありませんでした。ナイキはターゲットに対して条件を満たせていませんでした。彼らは最初の二年間でなんとか4ラーク(40万ルピー)分の靴を売っただけだった。これは、BOP1.0戦略の中でやるべきでない古典的なケースです。


一方、インドのGodrejとBoyceは地方に対して低価格のChotuKoolという冷蔵庫を売って成功しました。値段は3500ルピー前後で、持ち運べるたった7.8キロの重さです。これは電気無しで数時間冷たく保つために高性能の断熱性を持っていて、通常の冷蔵庫の半分のエネルギーしか消費しません。

ChotuKool

▲from CotuKool.in

ChotuKoolは、それが受け入れられるように、村の女性と一緒にデザインしていて、マイクロファイナンスのグループメンバーによって、村に売られました。しかも少ないエネルギーしか使わないので、環境にも優しいのです。


インドがBOPイノベーションのリーダーに

―この新興セグメントに対するイノベーションはどこから生まれてくると思いますか?

ブラジルや中国、インドなどの新興国は相当に大きなマーケットで、アントレプレナーや企業にとってBOPイノベーションで収益化するということは理想なのでしょう。しかし、そのグローバル企業の存在と、エンジニアリングの帯域幅を見ても、インドがBOPイノベーションのリーダーとなりえると私は思うのです。また、現在、インドは民主主義的で自由な社会を持っていて、破壊的なアイディアの出現にも従順だったりします。


鍵は政府に勢いを見せること

―政府はBOPイノベーションを促進する働きを持つでしょうか?

政府が基礎研究や、科学、テクノロジーに投資して悪いことは何もないでしょう。しかし、政府は、それがどういうふうに実行されるべきなのか、どのベンチャーに投資すればよいか、をはっきりさせるのが下手です。だから、プライベートセクターが導いてあげなくてはならないと思うのです。一度、ビジネスに勢いがあることがはっきりすれば、政府はBOPイノベーションを加速させる良いツールとなりえるでしょう。


トリクルダウンではなくトリクルアップ

―では、あなたは※トリクルダウンに反して、トリクルアップを見ているのですね?

そうです。※参加型方式を通して、クリエイティブな破壊が起こるのです。また、ビジネスをしっかりコントロールすれば、既存のビジネスを食い殺してしまうことはないでしょう。そうして、あなたは、今までなかった新しい市場を完全に作り出すことができるのです。


―――――ここまで和訳引用―――――


トリクルダウン(理論)・・・「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が浸透(トリクルダウン)する」とする考え方(トリクルアップは造語、ここではトリクルダウンの反意語として使われている)
参加型・・・する側とされる側、与える側と与えられる側といった垣根を超えて一緒につくっていくやり方(参考:参加型開発)


最後に

「BoP(を対象とした)ビジネスをやるにあたっては、既存のフレームワークでは通用しない場合が多い」ということは、とくに真新しい内容というわけではないですが、「BoP1.0から2.0へ」ということでわかりやすくまとまっていると思ったので紹介させていただきました。
BoPビジネスの成功例はまだ多くありません。そこに必要とされるのは、まさにイノベーションなのでしょう。
(BoP向けビジネスを)やるならば、本気で、現地に適した新しいものを生み出していくこと、一方的にではなく、双方に利益のあるかたちを作っていくこと、が成功の秘訣と言えるかもしれません。


参考

Bottom of the pyramid is not only about low-cost products, says Stuart Hart(2011) – Times of India

ChotuKool.in




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