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持続可能な地域開発~農業を通じた人びとの自立~by NPO HANDS

 2011年7月24日

先日23日(土)にNPO HANDSさんによる「持続可能な地域開発~農業を通じた人びとの自立~」と題したセミナーに参加してきました。

NGO HANDS seminar

柱として以下3つの活動紹介と座談会があり、そこに質疑応答の時間が加わった構成で約3時間。

1. HANDSさんのブラジル連邦共和国アマゾナス州マニコレ市遠隔地コミュニティでのアグロフォレストリー事業
2. OISCAさんのパプアニューギニアでの農業研修センター事業
3. JVCさんの南アフリカでの有機農業事業

活動紹介・座談会・質疑応答を聴いていて面白かったことをまとめました。

HANDSさんのお話

1.アグロフォレストリーとは

・様々な植物を1箇所で栽培
・水平だけでなく垂直にもスペースを活用
・サステナブル
・収益性がアマゾンの牧場に比べて良い
・生物多様性を保てる
・モノカルチャーに比べて害虫や病害、価格暴落などに影響が少ない
・より快適な仕事環境
・農薬・化学肥料の必要性がない
・日系農家が始めた手法(トメアスという地域)
・1年目から継続的なリターンを少額の初期投資で得られる
・3年くらいで果物も取れ始め、30年くらいで森まで成長する。

参考:http://www.hands.or.jp/pagesj/05_act_develop/brazil/agroreport.html

2.なぜアグロフォレストリー

・大都市貧困地帯での問題解決よりも、そもそもの問題の予防をすることが必要なのではないかという発想
・都市スラムに流れてくるのはだいたい農村部から来たひとたち
・「健康」というのは身体的・精神的・社会的に良好な状態であり、そのために当動的なアプローチとして採用

3.実際にアグロフォレストリーで成功している

小長野さんという方がアグロフォレストリーをブラジルで実践し、その成果はなんと前ブラジル大統領が表彰されたほどだそう。
参考:http://hands2006.blog46.fc2.com/blog-entry-372.html

4.アグロフォレストリーによってもたらされるもの

印象的だったのが下記。経済効果も得られるそうですが、なによりこういったマインドに変化が起きることって重要だと思います。

【Handsセミナー】アマゾンの遠隔に住む若者は市街地に、市街地の若者は都市部にという農村から離れる傾向があったものの、近年では農業も誇りを持ってできる職業として認められるようになってきている。less than a minute ago via Twitter for Android Favorite Retweet Reply


JVCさんのお話

1.南アフリカのアパルトヘイト

・黒人は国土の14%のホームランドへ移住
・そこからの移動の禁止
・人頭税、家畜税の課税
・あらゆる生産活動が禁止される
⇒現金が必要になり都市部へ出稼ぎ
⇒農業の衰退(自給率が10%)/ 受け継がれない伝統 / 家族の分断 /不安定なセかつ基盤 / 黒人の自主性の剥奪

2.有機農業

・研修は別地ではなく、人々の住んでいるところに入り込んで行なうことに配慮している
・お金をかけずに野菜が作れるようになった
⇒出費が減った
⇒収入増加
⇒女性が自由にお金を使える(家畜が男性の財産で野菜には興味がない)
⇒多様な野菜が手に入るようになり食生活が改善した
⇒食糧価格高騰の影響を受けにくい
⇒スモールビジネスを始めて収入向上(野菜を原材料にした食品を作って売る)
⇒職がなくてもなんとか生きていける

・農業⇒生活というイメージがつきにくく、支援はもらって当たり前という考え方が根付いており、なかなか広がりにくい

座談会と質疑応答

A:OISCAさん/B:JVCさん/C:HANDSさん

1.持続可能な地域開発(と農業)

  • A:貨幣経済のことばかり考えているけれども、自給自足や協働ということを見直さないといけないのではないか。
  • B:「そこにあるものを見る」ことが大切で、その場に行って「ないない」しか言えないのは自分たちの生活基盤のことしか考えられていないということ。
  • C:我々はあくまでサポーターでしかなくて、短期的に成果を出してさよならっていうことが良しとされていてそういう圧力を感じている。が、彼ら自身は長期的に何十年もかけて開発をしていくわけで、ある程度長期的にコミットする覚悟が必要なのではないかと思っている。
  • A:助成金というのは1年~3年が普通だが、その期間で完結する活動というのはない。あくまで助成金は補填だという考えをもたなければいけない。
  • B:短期であれ長期であれプロジェクトの成果に目が行きがちなのだけれども、人として現地の人々と人として関わっていく姿勢を持たなければいけないのかなと常日頃思っている。
  • C:地域の持続的な開発は数十年かかり、その中でのプロジェクトにかかる数年をどう位置づけ、団体として関わる十数年をどう位置づけ、そういうことを考えなければいけない。

2.住民の気づきとエンパワーメント

  • C:最終的に生活を良くしていくのは住民の気づきだというコンセンサスはとれているが、それは簡単なことではない。「地元の人たちが当事者意識がない」ということはよく出る愚痴であったりするが、そのあたりはいかがか。
  • B:自分自身にやってもらって自信をもってもらうことが第一歩かなと思っている。今後も有機農業を続けていけるという人たち同士をつなげたりということもしていて、そうすると自然に改善されたりする。聖書の一節を読んで、自分の生活と結びつけて環境への意識をもたせたりしている。大型の増産援助が入ってきて、農薬や種などとセットでの支援があった。5カ年計画で最終的には自給自足できるでしょっていうもの。それに飛びついた結果借金だけが残った。そこで農薬が土地を悪くすることを自身の経験から知ったりした。

3.日本の国際協力

  • C:日本の文化、現地からすると異文化を持ち込むことになると思うだがそこについてどう思うか
  • A:押し付けになってしっているのは事実。若者を対象とした研修センターでの規律訓練も最初は嫌がるけれども、1年もいるとその意味がわかってくる。現地のカウンターパートがいるから上手くいっている。また、住民の高齢の方々には押し付けなどすることはない。彼らには彼らの知恵がある。
  • B:始めはだらだらミーティングしたり遅刻したりということにわなわなすることもあったが、その中でもなんだかんだちゃんと上手くやっていることに気づいたので、そのままにしようという気持になった。

<質問>
Q.スケールしていくと思うか?そのために必要なことは?
なるほどと思った答え:
我々NGOはモデルケースをつくろうとしている。我々が成功することで政府などにも注目され大きくなっていく。その先駆けとしての活動だと思っている。


最後に

全体を通して学びの多いセミナーでしたが、JVCの方が最後に、
『今まで一番嬉しかったことは、「現地のひとにJVCはもう去っていいよ。その代わりはたまには友人として、この土地を見に来て欲しい。」と言われたことだ』と仰っていたことが一番胸に残っています。

こういう支援が小規模でも同時多発的に起きて、大きくなっていけばいいなと感じましたし、自分もこういった言葉を返してもらえるような取組をしていきたいと決意しました。



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