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アフリカにおける食糧事情②-食糧問題解決のために知っておくべき4つの視点

 2011年5月24日

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こんにちは。
今日は前回書いた【スタディー】アフリカにおける食糧事情①-遺伝子組み換え作物事情の続きです。

ISAAA(International Service For The Acquisition Of Agri-Biotech Applications)からのレポートによると、1996年から2010年の間に遺伝子組換え作物栽培する地域は世界的に87倍に増加しており、遺伝子組み技術は現代の農業の歴史で最も進行の早い技術なのだそうです。

しかしながら、「食糧生産量をただ増やしただけでは問題は解決しないのではないか?」
ということで今日は調べた中でキーとなるであろう視点4つをご紹介します。

食糧増産だけでは解決しない飢餓・栄養不良問題

①世界で生産されている穀物は重量ベースで世界中の人口をまかなうのに必要な量を越えている
②生産された食料が食用としてではなくバイオ燃料に使われている
③アフリカへの緑の革命導入は失敗している
④そもそも食糧不足と栄養失調は因果関係にないかもしれない


①世界で生産されている穀物は重量ベースで世界中の人口をまかなうのに必要な量を越えている

前回の記事で、アフリカの人口増加に食料増産が追いついていないと書きましたが、実は日本国際飢餓対機構*1のHPによると世界の食糧生産量は世界中の人口を養うのに必要な量を大きく越えているそうです。

世界では、穀物だけでも世界中の人が生きでいくのに必要な量の倍近く生産されています。他の食べ物を合わせるとありあまるほどあるのです。

世界の穀物生産量(2008年)22億2450万t÷67億4970万人=1人約330kg(1年の必要穀物量は1人180kg)

上の数字で分かるように、世界人口の18%が工業先進国に暮らし、この18%の人たちが世界の穀物の39%を消費しています。言いかえると世界のおよそ5分の1の先進国の人が、世界中の穀物の5分の2を消費していることになります。そして世界人口の5分の4が開発途上といわれる国に住み、世界の5分の3の穀物で暮らしているのです。

しかし、世界の飢餓人口は減るどころかふえ続け、現在10億人を超えています。そして今、西アフリカのサヘル地域東部では、気候不順によって作物の収穫が少なく、深刻な食糧難に陥っています。


②生産された食料が食用としてではなくバイオ燃料に使われている*2

バイオ燃料もアフリカやその他の食糧問題を考えるときに重要な役割もになっています。実は多くの世界で生産された作物はバイオ燃料生産に使われています。

最近では、世界のトウモロコシ生産のうちの15%、21.4%の砂糖や45%の菜種がバイオ燃料生産に使用されているのだとか。その一方で数百万人のひとが飢餓に陥っています。

③アフリカへの緑の革命導入は失敗している*3

過去にメキシコやインドでは緑の革命(1940年代から1960年代にかけて高収量品種の導入や化学肥料の大量投入などにより穀物の生産性が向上し、穀物の大量増産を達成したこと)が行われ大きな成功を収めました。
そのためのこの緑の革命をアフリカに応用しようという動きがありましたが、成功していないとされています。

指摘されている理由には、広範囲な汚職・政情不安・社会基盤の欠如・政府側の意志の欠如が含まれ、その上、たとえば灌漑用水の利用可能性・地域内の標高や土壌の質のばらつきなどの環境要因がアフリカにおける緑の革命の普及を妨げている*3

STONEで昨年開催したセミナーにおいても、「食糧をただ増産するだけなく、バリューチェーンやサプライチェーンも含めて改革しなくてはならない」という言葉を笹川アフリカ協会の方から頂いています。>>【レポート】8/20 STONE Monthly Seminar vol.1 開催しました!*4


④そもそも食糧不足と栄養失調は因果関係にないかもしれない

Togo-Demographics_of_Africa-Demographics_of_Togo-hd こちらは過去に【スタディー】「貧困問題」などと言うけれど、実際には何が問題なのか①「食」編―『Dancing Skelton』より*5で紹介した話です。

栄養失調で、頭だけ大きくて、手足はとても細い子供たち。ひとりでちゃんと頭を支えることができない。栄養失調で、手足は骨のようなのに、おなかだけ、なぜか、ぼーんって出ている。あきらかに元気がない。あまり御飯も食べたがらない。

でも実は、問題なのは、その子たちの親でした。

作者「あなたの子供にもっとご飯を食べさせてあげて。」

親「でもあの子が食べたがらないのよ。食べたいときには食べさせてるわ」

作者「それじゃだめ。子供の成長に必要なのは栄養。栄養がなければ成長できない」

親「でも、たとえば、あなたのように一生懸命働いてるひとは、食べ物をたくさん食べるに値するわ。でも子供は、なにもしてくれないじゃない。それに、食べ物のおいしさをちゃんとわかってもいないし。それよりは、もうすぐ死んでしまう年寄りに食べ物を与えるべきなのよ」


最後に

いかがでしたか?
ぼく自身調べ始めたばかりですが、食糧問題は一見簡単なように見えて
色々な問題が複雑に絡みあっていることを実感しています。

しかしながら複雑なのは食糧問題だけでなく、きっとすべての社会的課題に対して言えることですよね。
こういった多面的な視点をほかの問題に対しても応用してみると、また新しい発見、問題解決の糸口が見えてくるのだろうと思います。


参考

*1 日本国際飢餓対機構
*2 Africa urged to ban food production for bio fuel
*3 緑の革命
*4 【レポート】 8/20 STONE Monthly Seminar vol.1 開催しました!
*5 【スタディー】「貧困問題」などと言うけれど、実際には何が問題なのか①「食」編   ―『Dancing Skelton』より




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